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IT人材不足は嘘?本当に不足する真の理由|需要が高まるスキルや能力とは

IT/Web派遣コラム この記事は約 11 分で読めます。

IT人材の不足は各所でささやかれ、今後さらなる深刻化へ向かうと予測されています。IT人材の争奪戦の激化は、もはや避けられない情勢です。

一方、足りていないのはIT人材の量(人数)のみならず、質(スキル)に関する言及も見られます。「IT人材が不足しているなら、今後しばらくは安泰だろう」と考えるエンジニアは、その認識をあらためる必要があるのかもしれません。従来型のエンジニアではなく、より高い付加価値を有するIT人材のニーズが高まっているためです。

IT人材が不足する背景には何があるのか、そして社会にどのような影響を与えるのか? これからのエンジニアに求められるスキルとともに考察します。

2030年には79万人のIT人材が不足

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画像引用元:経済産業省|IT人材需給に関する調査

2019年に報告された「IT人材需給に関する調査」では、2030年には約79万人ものIT人材が不足するシナリオが示唆されています。

この数字はあくまでも悲観的なシミュレーションではありますが、IT人材に対する需要の伸びが鈍化していても45万人の不足、需要が現在の水準で移行した場合においても16万人の人材不足が予測されているのです。

しかし、労働生産性の向上やDXの推進が急がれる時勢を考慮すると、IT人材の需要は右肩上がりに拡大していく可能性は極めて高いと目されます。ミニマムの予測は見当外れになると考えるほうが妥当でしょう。

IT人材不足の主な原因

IT人材が不足している背景には、さまざまな要因が指摘されています。

  • 少子高齢化
  • 先端IT分野における人材の欠乏
  • 高い付加価値を生み出すIT人材の不足

少子高齢化

まず挙げられるのは、急速に進行する少子高齢化、それに伴う労働力人口の減少といったマクロ要因です。これは国内全体の喫緊の課題として議論されている項目ですが、IT業界においても同様の傾向が認められます。

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画像引用元:経済産業省|IT人材需給に関する調査

同調査では、IT人材の入職は2019年にピークを迎え、以降は人口減少に伴い下降していく可能性に触れています。同時に、退職者も増加していくシナリオも示唆されており、IT人材不足により一層の拍車がかかる未来が予測されているのです。

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画像引用元:経済産業省|IT人材需給に関する調査

少子高齢化に伴い、年代別人材構成の変化も推計されています。「人材の不足」と「人材の高齢化」の深刻化は避けられない情勢です。

先端IT分野における人材の欠乏

ビッグデータやIoT、人工知能領域など、先端IT分野における人材不足の需給ギャップも予測されます。

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画像引用元:経済産業省|IT人材育成の状況等について

上の図から読み取れるように、2016年からIT人材の需給ギャップは顕著な拡大傾向を示しています。

先端IT分野は、今後求められるイノベーションを牽引する核心的なフィールドです。ますます伸びていく需要に対し、供給が追い付いていかない未来が示唆されます。

また、これらの先端IT分野への注目の高まりと歩調を合わせ重要性が増してくる、情報セキュリティ分野に関しても同様に人材不足が指摘されています

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画像引用元:経済産業省|IT人材育成の状況等について

DXの推進やイノベーティブな技術革新のイニシアチブを取る人材、それをバックアップするサイバーセキュリティ領域に長けた人材、両者が枯渇することは、IT人材の争奪戦がいま以上に苛烈化することを意味します。

高い付加価値を生み出すIT人材の不足

グローバルなIT人材と比較して、国内のIT人材は付加価値を創出するスキルにビハインドを背負っている現状も突きつけられています。

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画像引用元:経済産業省|IT人材育成の状況等について

ITスキル標準レベルにおいて、レベル4に達する米国をはじめ、追随するインドや中国などに対し、日本のIT人材の標準レベルはレベル3の前半にとどまります。

この背景には、国内IT業界の競争力の相対的な低さが疑われています。上記の表で示されているとおり、給与水準の視点においても、国内IT業界は水をあけられている現状です。

これに関連して、国内IT人材における自主的なスキル習得への積極性が、比較した諸外国のなかでワーストであることにも目を向けなくてはいけません。

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画像引用元:経済産業省|IT人材育成の状況等について

つまり、「IT人材不足」をさらに深掘りしていくと、「高い付加価値を有するIT人材の不足」に帰結します。

IT人材の不足は嘘?

一方、「IT人材不足は嘘であり、人材は余っている」という論調も一部界隈で聞かれます。先に紹介した経済産業省の報告とは異なる主張となりますが、端的にいってこの見解は正確なものではありません。

たしかに、Web系エンジニアやプログラマーなど、いわゆる「従来型」エンジニアについては、人員が飽和しつつある傾向も認められます。その一方、先述した先端IT人材や高い付加価値を有するIT人材は顕著に不足しています

求職者目線やキャリアアップの志向性の観点に立てば、この状況は大きなチャンスとも捉えられるでしょう。先端ITのスキルを身に着け活躍の幅が拡大すれば、自身の市場価値も飛躍的に高まります。

事実、先端IT人材の確保には業種業界を問わず多くの企業が奔走しており、採用競争は苛烈化する一方です。「IT人材不足」の言葉が真に意味することに目を向けるべきでしょう。

IT人材不足が招く影響

IT人材の不足は、企業にとって事業継続にも関わる死活問題にもなりかねません。いわゆる「2025年の崖」問題と、人材獲得競争の激化の観点から考察していきます。

「2025年の崖」問題

2025年の崖とは、経済産業省の「DXレポート」に掲載され、大きな注目を集めた言葉です。複雑化した既存システムの課題解決ができないゆえにDX化が進まず、それにより発生する経済的損失リスクについて言及されており、2025年以降年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性が示唆されています。

2025年の崖を引き起こす本質的な要因には、時代遅れとなった技術や仕組みで構築された既存システムである「レガシーシステム」の存在があります。

老朽化したレガシーシステムは、いまでは管理できる人材が欠乏しており、保守管理も複雑化したブラックボックスとなっています。これらのシステムの保守管理に携わっていたIT人材の引退や、基幹システムのサポートの終了といった要因を受け、事業基盤の継承自体が困難化するリスクも予測されています。

IT人材の不足は、この問題をより深刻化させる決定因子にもなりかねません。

IT人材の獲得競争の激化

「2025年の崖」問題も関連し、優秀なIT人材の獲得競争はますます過熱しています。高度IT人材に対して、富士通やNECといった国内大手IT企業が破格の年収を提示した報道も、大きな話題を集めました。

なお、多くの企業はIT人材の有する質(スキル)だけではなく、量(人数)にも欠乏感を抱いています。情報処理推進機構(IPA)の調査では、IT人材が不足していると回答した企業の割合は「質」「量」ともに8割を上回る水準に達しているのです。

先端IT人材や高い付加価値を有するIT人材を求めているのは、多くの企業において共通してみられるニーズです。加えて、多くの人数を採用することで、IT・デジタル領域の強化を図ろうとする姿勢が読み取れます。

繰り返しになりますが、求められるのは先端IT人材や高い付加価値を有するIT人材です。いわゆる「従来型」エンジニアのニーズは、想定的に低下していくことが予測されます。あらゆるIT人材は自己研鑽の時間を設け、先端IT分野のスキルや経験値を高めていく必要に迫られるでしょう。

今後のIT人材に求められるスキル

今後のIT人材に求められるスキルを考察します。

  • 問題発見能力
  • コミュニケーション力
  • マネジメント・ディレクションスキル
  • プレゼンテーション力

プログラミングスキルなど、従来のIT人材に求められていたスキルは「当たり前のもの」として捉え、今後要求されるより価値の高いスキルの習得を図りましょう。

問題発見能力

問題発見能力とは、いわば「システムの問題を発見して解決する力」です。特に情報セキュリティ分野において重視される能力であり、今後のIT人材に求められる価値の高いスキルとなるでしょう。

情報セキュリティにかかわるエンジニアが直面する課題は、年々高度化しています。複雑化するサイバー攻撃や不正アクセスに対し、対応できる人材の確保は多くの企業における喫緊の課題です。

情報セキュリティ分野をはじめ、「問題が発生しているのはどこか」「対する解決策はなにか」を検討・実行できる力が今後のIT人材には強く求められています。

コミュニケーション力

コミュニケーション力は、要件定義など対人関係において不可欠なスキルです。

生成系AI(ジェネレーティブAI)の急速進化などのイノベーションを経て、与えられた要件をプログラミングすることで仕事が成立していたような、従来型のIT人材のニーズは相対的な低下が予想されます。

クライアントが抱えている課題はなにか、その背景にはどのような潜在的なニーズがあるのか。これらを汲み取ることもコミュニケーション能力のひとつです。円滑なコミュニケーションの実現がなされなければ、クライアントが期待する価値を提供することは難しくなるでしょう。

マネジメント・ディレクションスキル

ここでいうマネジメントスキルには、納期を適正管理するタイムマネジメントや、関係者や部下など人材に対するマネジメントが挙げられます。

IT人材が担う仕事のほとんどはプロジェクト形式で分業されるため、マネジメントスキルは必須です。コミュニケーション力のほか、関係各所との調整に必要なマネジメントスキルも同様に重要であると捉えましょう。

また、部下やチームの指導のほか、全体の進行管理を担うディレクションスキルも欠かせません。特にインフラ構築など、複数のエンジニアや関係者が行き交うプロジェクトでは必須の素養になります。

プレゼンテーション力

プレゼンテーション力がなければ、顧客や責任者に対して適切な提案ができません。

ITの領域では専門用語が多く飛び交うため、ITの知識がない人を置き去りにしがちです。しかし、ITが求められる領域が今後ますます拡大することを踏まえると、誰にでもわかりやすく説明ができるプレゼンテーション力が今後のIT人材には大いに求められるでしょう。

IT人材不足は噂ではなく本当に起きる

さまざまな憶測が飛び交うIT人材不足に関する見解ですが、今後求められるイノベーションを牽引するような先端IT人材や高付加価値人材が欠乏していく傾向は論をまちません。

しかし見方を変えれば、求職者やキャリアアップ視点では大きなチャンスです。今後のIT人材に求められるスキルを備えれば、自身の市場価値は飛躍的に高まります。

IT人材の不足は、エンジニアの安泰を担保するものではありません。自己研摩を経て、求められるIT人材として活躍していきましょう。

まとめ
  • 経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年に約79万人ものIT人材が不足するシナリオが示唆されている
  • その背景には、少子高齢化や労働力人口の減少といったマクロ要因のほか、先端IT分野における人材の欠乏などが指摘されている
  • 「IT人材不足」を深掘りしていくと、「高い付加価値を有するIT人材の不足」に帰結する
  • 「2025年の崖」問題やIT人材の獲得競争の激化など、IT人材の不足は、企業にとって事業継続にも関わる死活問題にもなりかねない
  • IT人材が不足していると回答した企業の割合は「質」「量」ともに8割を上回る水準に達している
  • IT人材の不足は、求職者目線やキャリアアップの志向性の観点に立てば大きなチャンスであり、自己研摩を経て自身の市場価値を飛躍的に高めることも十分に可能

 

 

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