航空宇宙向け品質管理のJISQ9100とは?
JISQ9100をご存じでしょうか?ISO9001や14000ならご存知の方も多いかと思いますが、あまり聞き馴染みのない言葉だと思います。このJISQ9100は航空宇宙産業向けの品質マネジメントシステムです。将来的に航空宇宙産業での仕事を希望される場合や関連する会社で働きたい場合、JISQ9100についての概要を知っておくことは決して損にはなりません。
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JISQ9100とISO9001の違いはどこか?
JISQ9100を理解するために、まずISOとJISの違いを理解する必要があります。何故ならJISQ9100は、ISO9001を大元としているからです。ISOというのは国際標準化機構のことで、スイスの非営利法人で、ISOの規格は世界中の様々な企業で適応されています。一方JISというのは日本工業規格のことで、日本の工業標準です。そしてJISのあとのQはJISの中の管理システム分野の規格であることを表しています。そしてISO9001とは品質マネジメントシステムのことです。ISO9001をJISが日本向けに翻訳したJISQ9001というものがあったのですが、それは製造・サービス分野の規格でした。ISO9100になり、それに加えて航空・宇宙・防衛分野に関しても規格が可能となったのです。
品質マネジメントシステムってどんなもの?
品質マネジメントシステムは全ての従業員が共通して認識しているという定義のもと、良質な製品を作るためのシステムの管理を目的としています。つまり製品をチェックするのではなく、システムそのものが上手く働いているか確認するわけです。そのための手段として、顧客満足度の監視や分析、士品検査、設計や開発の妥当性の確認などが行われます。といっても無根拠にそれらが行われているわけではなく、手順のひとつひとつをエビデンス、つまり証拠や根拠に基づいて妥当性の理由を確認しながら行われています。
JISQ9100を取得するメリットは何か?
ボーイング社などの大手航空宇宙機器開発製造会社は、ISO9001では規格として不十分であるとして、それを補うものを要求した結果、アメリカ版JISQ9100であるAS9100を作りました。JISQ9100はこのような世界的な流れに応じて作成されたので、中身はアメリカのものとほとんど変わりません。ですからJISQ9100を取得していることで、世界的なメーカーが使用している規格の基準を満たしている企業であることを世界中にアピールできますので、品質が信用されます。品質が信用されることで、信頼されやすく、営業しやすくなりますので、当然業績に大いに繋がります。このことから今後取得する企業は増えていくと予想されています。
グローバルスタンダードな人材を目指して
モノづくりの現場で働く以上、必須の知識ともいえるISO。JISQ9100はISOだけでは不十分な航空宇宙産業や関連業界で働く際の世界基準です。今後を見越して、個人的に学んでおくのも悪くないでしょう。