コンデンサは電気を貯め込むしっかり者!その役割と種類とは?
学校の授業の回路図の説明などで聞いたことのあるコンデンサという電子部品。電子回路を使ったものづくりの仕事をしていると、たまに見かけることはあっても、あまりじっくりは見ないのではないでしょうか?
しかし電気製品の中では、想像以上に沢山のコンデンサが使われているのです。
機関車にも復水器という、コンデンサがありますが、ここでは電子機器についてご紹介します。一体どのような機能があるのでしょうか。
教科書の図面ではなく、実際の部品としてのコンデンサの種類と機能をご紹介します。
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実際は何に使われる?コンデンサの役割
2つのリード線が繋がれたコンデンサ。その機能は、銀行やダムにたとえられることがよくあります。
つまり電気を貯めるというのが、大きな特徴なのです。
電圧をかけると電気を貯めこみ、この電圧が下がると電気を放出するという性質をもっています。
これを利用して、電圧を安定化させたり、ノイズをカットする、直流成分をカットするなどの用途に使われます。
このような役割をするコンデンサは、実に様々な製品に入っています。
PCやスマートフォン・携帯電話などの電子機器をはじめ、冷蔵庫、TV、掃除機などほとんどの家電製品にも数百個のコンデンサが使われています。
定常状態と過渡状態
コンデンサは大きく分けて「定常」と「過渡」の2つの状態で表すことができます。
定常状態とは、安定した状態を指します。
電源が入っていないため電気が流れていない状態やコンデンサの容量が充電により最大限に満たされている状態、一定の電流が安定して流れている状態が定常状態になります。
一方、ある状態から別の違う状態へ移行する過程で起こる状態を「過渡状態」と言います。
定常状態から定常状態へ移行する過程の状態が過渡状態なのです。
充電が最大限にされた状態を「定常状態」とするなら、充電しはじめに電圧が徐々に上がっていく状態は「過渡状態」となります。
時定数と周波数
コンデンサにおいての重要な役割である充電と放電。
時定数とは、スイッチをONにして充電する時の電圧が最大電圧に対して「とあるパーセンテージ(63.2%)」まで到達した時間とスイッチをOFF放電し電圧が「とあるパーセンテージ(63.2%)」まで減衰した時間を指します。
周波数は、コンデンサのノイズを除去する特性に関係します。
ノイズ対策でコンデンサを選ぶ場合、電圧と電流の比を表す「インピーダンス」周波数特性に注目することが大切です。
コンデンサの種類と用途をご紹介
コンデンサにはいくつかの種類があります。
コンデンサの種類と用途を見ていきましょう。
■アルミ電解コンデンサ:円柱状の安価で用途が広い
■タンタル電解コンデンサ:卵型の形状をしていることが多い、AV機器などの微小電流に使われる
■セラミックコンデンサ:茶色の円盤状で周波数特性が良い(電子回路用)
■積層セラミックコンデンサ:容量の大きいセラミックコンデンサ、ICなどに使われる
■フィルムコンデンサ:円柱をつぶしたような形状、ノイズ防止などに使われる
■可変コンデンサ:つまみがついたコンデンサ、バリコンとも言われ、容量が変化する
特に気をつけたいのは、極性のある電解コンデンサと極性のない他のコンデンサです。
極性のあるコンデンサのプラス側とマイナス側をつけ間違えると、破裂させてしまうこともあります。
他にも、主に自動車で使われている高耐圧セラミックコンデンサなどがあります。
教科書には載っていない、コンデンサの実際のつくり
コンデンサ自体は電極の間に誘電体を挟んだもの、というのは聞いたことがある方も多いでしょう。
では実際には、中身はどうなっているのでしょうか?
例として2種類のコンデンサの実際の中身をご紹介します。
積層セラミックコンデンサは、誘電シートの間に金属ペーストを塗布し重ねていきます。重なったシートをカット、圧縮し、高温で焼いて作られています。
アルミ電解コンデンサはアルミニウム箔の間に、電解紙を挟んで巻いてあります。その後電解液を電解紙に浸み込ませて、アルミケースにしっかり封入して出来上がっています。
じっと見つめてしまいたくなるかも!?
いつも近くにいるコンデンサの機能や種類、改めて見ていかがだったでしょうか。
小型化・大容量化が進むコンデンサ。基盤の上にコンデンサを見かけたら、じっと見てしまいたくなりませんか?
ちょっとした知識ですが、作業時にも参考にしていただけたらと思います。
電子機器を使用する上で、コンデンサは大きな役割を果たします。
安定して使用できる電圧の上限、「定格電圧」を守り、これからも便利に電子機器を利用しましょう。