製造業に携わる人が知っておくべき主要金属「ステンレス・真鍮・チタン」の特長
原子の半分以上を占める金属。
伝導電子の一種である、電子が自由に動き回る「自由電子」であるため、電気伝導性が高く熱可塑性(熱せられると柔らかくなり冷めたら硬くなる)といった特徴があります。
鋳造することにより電子機器や硬化などに形が変化できるため、私たちの生活において欠かせない存在です。
金属は原子が3次元的に規則的に整列し、金属結合をしています。
この結晶構造により金属は硬くなるのです。
その硬く強い特性から、製造業の現場では何種類もの金属が使われていますが、用途によって使う金属は異なります。
触れる物質が液体であったり、毒性の強いガスであったりすることによって、それに耐えうる力が必要となるためです。
そこで今回は、製造業で働く方なら知っておくべき金属の種類とその用途をご紹介します。
ベランダの手すりにも。腐食に強いステンレス
サビない金属として有名なのが、鉄とクロムとニッケルの合金「ステンレス(ステンレス鋼)」です。
汚れやシミをあらわすステン(stain)と無いという意味のレス(less)を合わせたステンレスは、その言葉の通りサビや汚れに対して強い特性があります。
熱に強い特性もあり、風にさらされる窓のサッシやベランダの手すり、温度が高くなる個所の継手などに使われる金属です。
そして、熱伝導率と硬度は炭素鋼より大きくありません。
熱伝導性に優れているので伸びやすく、いろいろな形になる加工がしやすい点もステンレスの特徴といえます。
そんな数々の優位性をもつステンレスですが、ほかの金属と比べると価格は高めです。
サビず加工性が高いステンレスですが、多くの量を使うと膨大な金額になります。
使いどころを見極めが必要です。
ちなみにステンレスにも種類があります。
クロムニッケル系のステンレス、クロム系ステンレスなどです。
同じステンレスでも密度の値は異なり、クロムニッケル系のステンレスの方が大きくなります。
ステンレスは加えられる合金元素により、さまざまな特性があるのが特徴です。
マンガンを加えると靭性が高まるなど、目的に合わせて利用することができます。
サビに強く丈夫、黄金色に輝く真鍮
トランペットといった金管楽器によく使われている黄金色の金属が「真鍮」です。
高級ホテルの手すりにも使われています。
真鍮は銅と鉛の化合物で、銅の耐薬品性と鉛の強さを併せもった金属です。
加工がしやすいうえに、光沢の輝きが美しいのでアクセサリーや建材の装飾品に使われることも少なくありません。
半田付けやロウ付けで結合・修復が容易です。
サビに強い側面もあり、ステンレスに比べて安価であることから、工業部品に使われることも多々あります。
ただ、強い衝撃に弱いのが難点です。
くりかえし衝撃を与えるものに使うには不向きかもしれません。
宇宙開発にも使われる強いチタン
アルミについで軽く、普通鋼より強い、最強クラスの金属が「チタン」です。
伸びもいいので加工がしやすく、手入れの必要性がほとんどありません。
その特徴から、頻繁にメンテナンスできない状況や状態、例えば宇宙空間で使われることも多いようです。
ほかにも航空産業や軍需産業といった高い技術が求められる場で使われる、力強い金属です。
しかし、高性能なゆえに価格は高く、その価格は加工金属のなかではトップクラス。
そのため、使いどころは限定されます。
各金属の長所短所を知っておこう
ご紹介した通り、いずれの金属にも一長一短があります。
一般的に製造業に使われる金属は、金や銀のように延性は高くありません。
しかし、正しい知識をもって金属の性質をつかんでいれば、的確な場所に適当な材料を使う事が可能です。
重要度の低い箇所はアルミニウムなどを使えば、余計なコストをかける心配もありません。
使いどころを見極めるのが重要です。
まず、どんなものを作るのか方向性を検討し、適した方法、適した金属を利用しましょう。