完全無料!3DCAD「FreeCAD」のワークベンチがすごい理由
ユーザー登録の必要もなく無料で使えるCADソフトがあるそうです。
フリーソフトだと、それほどの機能が期待できないのでは?と思う方も多いかもしれませんが、そうでもないようです。
はたして、どのようなCADソフトで、どのような機能が備わっているのでしょうか。
今回はそんなCADソフト「FreeCAD」についてご紹介します。
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FreeCADとはその名の通り無料モデラー
FreeCADはその名の通り、すべてが無料で使えるパラメトリック3DCADモデラーです。
立体形状のものならもってこいのFreeCADは、もともとCAS.CADEというCADソフトでしたが、2002年にオープンソース化し、世界中の有志の手によって10年以上かけて作り上げられました。
一般的なフリーソフトは商用不可というケースがほとんどですが、こちらのFreeCADは無料でありながら商用も可能です。
また、オープンソースなので、ユーザーがカスタマイズすることも可能です。
制作、回転、結合といった流れも簡単で部品や建築物やフェリーなどの設計が可能になりました。
さまざまなツールが揃う魅力的ワークベンチ
FreeCADにはさまざまなワークベンチが備わっています。
ワークベンチとは、データの種類によって行いたい作業のメニューやツールがセットになっているものです。
代表的なワークベンチとして、2次元の図形から複雑な形状を作成・作図できるパートデザインワークベンチや、メッシュで解析するFEMワークベンチなどがあります。
標準のFreeCADには搭載されていないワークベンチがほとんどなので、まずはダウンロードしてから登録することで使用できるようになります。
拘束条件、荷重条件と組み合わせて、自分が思うものを形にしましょう。
以下、ワークベンチの一覧と主なツールです。
【パートデザインワークベンチ】
スケッチ面から部品形状を作成する。
主なツール:「スケッチ面を作成」など
【製図ワークベンチ】
基本的なな2D-CAD製図用。
主なツール:「2点線分」など
【メッシュワークベンチ】
三角形メッシュで作業するとき。
主なツール:「メッシュのインポート」など。ソリッドにする場合は「形状構築ツール」を使用。
【パートワークベンチ(Partワークベンチ)】
CAD部品で作業するとき。
主なツール:「直方体の作成」など
【レイトレーシングワークベンチ】
レイトレーシング(レンダリング)で作業するとき
主なツール:「POV-Rayオブジェクトの新規作成」など
【ドローイングワークベンチ】
3D作業物の2Dシート上へ表示するとき
主なツール:「文字の追加」など
【ロボットワークベンチ】
ロボットの動作の研究用のワークベンチ
主なツール:「起動を作成」など
【スケッチャーワークベンチ】
幾何学的制約のあるスケッチでの作業用に
主なツール:「点の作成」など
【建築ワークベンチ】
建築物の作業用に
主なツール:「壁の作成」など
早速FreeCADを使ってみよう
【ステップ1】
実際にスケッチから入ります。大抵のCADモデルは、スケッチ(2次元)が基本的な要素です。
ツールバーのスケッチ形状ツールを使って、まずはxy上にスケッチします。
ダイレクトに3次元で作っていくの方法ではなく、まずはスケッチ(2次元)で作るということです。
【ステップ2】
次に拘束と呼ばれるルールを設けて3次元にモデリングしていきます。
拘束とは、対象にルールを付け加えることで、たとえば水平拘束を対象に使えばその対象が水平になります。
FreeCADのように、このような拘束を設けることによりモデリングするCADを、パラメトリック3DCADと呼びます。
初心者向けチュートリアル(タブレット用スタンド)
初心者向けモデリングとしては、タブレット用スタンドを作るのがおすすめです。
【ステップ1】
新規作成で、パートデザインワークベンチからスケッチを作成します。
【ステップ2】
ローマ字「A」の真ん中の棒がないものを作ります。屋根のような三角形です。しっかり立つように、タブレットを乗せれるように、足の部分にカーブをつけます。
【ステップ3】
モデルツリー上の押し出しを選択し、奥行きを出せば、タブレット用スタンドの完成です。
ソリッド化も簡単にできる
FreeCADでSTLファイルのデータをソリッド化(モノの内部が詰まっているという意の用語)したいとき、ソリッドを設定すれば簡単にできます。
しかし、ポリゴン数が多いと、なかなかソリッド化はうまくいきません。時間ばかりかかってしまう可能性があります。
3Dプリンター用データも作れる
FreeCADは、3Dプリンターのデータを作ることも可能です。
データを作ったら、コンボメニューにある立方体を選択します。
緑色になっていたら、選択が完了している証拠です。
ファイルから、エクスポート選択し、保存形式はをSTL Meshにします。
これで、3Dプリンターのデータが完成です。
パイプ用留め具といったものも、これを使えば簡単にできます。
FreeCADを使いこなすには
FreeCADは紹介している通り完全無料です。
誰でも気軽に始められるので、まずはダウンロードして使ってみることが重要です。
そして、わからないことがあれば、FreeCADのラーニングサイトを参考にしてみてください。
FreeCAD自体は日本語化されているので問題なく使えますが、参考となるラーニングサイトは英語で解説するケースがほとんどです。
もし英語が不得意であれば、youtubeなどの動画や訪問者数の多い「FreeCAD使い方メモ」で確認するとよいでしょう。
建築ワークベンチ初歩などで、建設物のデータも簡単にできます。
また、たくさん本も発売されていますので、どれがいいかは通販サイトで投票数の多いものを参考にしてみてください。
使いやすかったのか、疑問点は解消されたのかなど、実際に使ってみた人の感想を知るのは肝心なことです。
複雑なデータは、マクロを使うと簡単です。
たとえば、複雑なアクションを開始するときにマクロの「記録」を選択し、アクションが終了したら「記録停止」を選択します。
そうすると、そこまでのアクションをマクロは記録して、次から好きなとき簡単に再生できるのです。
FreeCADはここまで使えて完全無料
FreeCADを使ってみると、とても完成度の高い無料CADであることがわかります。
ブーリアン演算を用いれば複雑な形も作成でき、部品の素材をわかりやすくするために、表示設定で色や質感を変更することも容易です。
(例:コンボボックスを使って、プラスチック素材に変更)。
2Dから3Dにモデリングすることで、CADのオペレーションが格段に速くなることでしょう。3Dビューで、作りたいものをかたちにしましょう。
3DCADを学ぶ上で最適なツールと言えます。