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在宅勤務手当とは?テレワークになぜ必要?受給のメリットと相場・事例

働き方改革の推進や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、急速に拡大している在宅勤務。それに伴い、在宅勤務環境の整備費用や維持費が従業員に重くのしかかるようになりました。そこで普及が進んでいるのが、従業員の負担軽減を目的とした「在宅勤務手当」です。

昨今、在宅勤務は世界的なトレンドとして注目されています。現在は在宅勤務が導入されていなくても、特にエンジニアなどの職種に就いている場合は、在宅勤務に移行するケースが想定されるでしょう。在宅勤務への切り替えにあたり知っておきたい在宅勤務手当について、その概要を解説していきます。

在宅勤務手当とは

在宅勤務手当とは、在宅勤務に必要な経費を会社が負担するための手当です。この「必要な経費」とは、業務に使用するパソコンや通信機器だけではありません。

  • 在宅勤務導入時にかかるコスト
    デスク、チェア、マイク、スピーカー、通信回線 など
  • 在宅勤務導入後にかかるコスト
    光熱費、通信費 など

在宅勤務を始めるには、自宅に仕事用のスペースを確保し、環境を整える必要が生じます。デスクやチェアなどの初期投資は不可欠なものになるでしょう。さらに、導入後には仕事で使うための光熱費や通信費などの維持費が必ず発生します。

こうした在宅勤務で発生する経費を会社が負担する仕組みとして、在宅勤務手当の支給が始まっているのです。

テレワークに在宅勤務手当が必要とされる理由

在宅勤務手当が必要とされる理由には、上記で述べた環境整備と維持費、そして通勤手当の廃止が関係しています。

環境整備と維持費

環境整備では、デスクやチェア、PCなど機器の確保のほか、ネットワーク環境の整備が大きな課題となっています。

【テレワークを実施した際に生じた課題】 ※複数回答

全体 緊急事態宣言発令前より実施 緊急事態宣言発令以降から実施
1位 ネットワーク環境の整備
56.7%
書類への押印対応 60.1% PC・スマホ等機器の確保 58.8%
2位 PC・スマホ等機器の確保 55.9% 社内のコミュニケーション 58.1% ネットワーク環境の整備
57.3%
3位 社内のコミュニケーション 55.5% ネットワーク環境の整備
55.4%
情報セキュリティ体制整備 55.2%
4位 情報セキュリティ体制整備 50.9% PC・スマホ等機器の確保 52.5% 社内のコミュニケーション 55.5%
5位 書類への押印対応 49.9% 情報セキュリティ体制整備 44.9% 業務プロセスの洗い出し・構築 44.2%

データ引用元:東京商工会議所「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」

東京商工会議所「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」調査結果では、テレワーク実施により顕在化した課題、全体の1位はネットワーク環境の整備であると報告されています。

また、以前から在宅勤務を導入していた企業においても2位となっています。これは、ネットワーク環境整備は維持費も伴うコストであることが理由として推測されます。在宅勤務が長期化するにつれ、維持費は右肩上がりに加算されていくとともに、在宅勤務手当の必要性も増していくでしょう。

通勤手当の廃止

通勤手当の廃止に起因する在宅勤務手当の支給の背景には、企業側の事情があります。一般的に、在宅勤務手当の方が通勤手当よりも支給額は少なくなるため、廃止された通勤手当を原資にした在宅勤務手当の支給は、企業の経費削減につながるからです。

在宅勤務手当のメリット

在宅勤務手当を受給するメリットは、自己負担なしで自宅にオフィス環境を整備できる点です。

在宅勤務では、長期化するにつれてオンオフの上手な切り替えが非常に大事になってきます。そのためには仕事専用のスペースを設けることが一番ですが、オフィスデスクやチェアは高額なものです。在宅勤務手当を活用して物品を用意し、快適な作業環境を整えましょう。

また、デスクやチェアに関しては、現物支給を行っている企業も見られます。こうした環境整備は、業務効率化に大きな役割を果たすからです。円滑な業務推進に向けたさまざまなサポートを受けられることも、在宅勤務手当のメリットといえるでしょう。

在宅勤務手当のデメリット

在宅勤務手当は、一時金もしくは一律で支給されることがほとんどです。そのため経費が支給額を上回ると、経費の一部は自己負担になってしまうため、通勤していた時期と比較して従業員のコスト負担が増えることになります。

経費が支給額を上回っても、差額の請求は難しい場合があります。支給額は適切な分配で有効に活用しましょう。

企業によって異なる在宅勤務手当

在宅勤務手当の支給方法には、以下の3通りがあります。

  • 実費のみの支給
  • 一律の手当の支給
  • 実費と一律の手当の支給

実費のみの支給

実費のみの支給では、業務のために発生した実際の費用のみが支給されます。

    <実費として支給される項目の例>

  • インターネット通信費
  • 周辺機器代
  • 消耗品

しかし現状として、実費のみの支給はあまり行われていません。それは、従業員負担分を明確に区分できない項目が多くあるからで、特に光熱費や通信費は仕事とプライベートの区別が付きづらくなります。

一律の手当の支給

一律の支給では、毎月もしくは一時的に一定額が支給されます。この場合の支給金額は、正社員・契約社員・アルバイトなどの雇用形態に応じて異なるケースが多く見られます。

なお、一律の手当では、従業員が負担した経費を支給額でカバーしていると想定されるため、経費が手当を上回っても、差額の請求は難しい場合があります。

実費と一律の手当の支給

実費と一律の手当の支給では、一定額の支給のほか、実費支給が追加されます。例えば、在宅勤務が原則となり一定額の支給を受けながらも、やむを得ず出社が必要な場合の通勤費支給などが該当します。

在宅勤務手当を支給している企業の事例

在宅勤務手当を支給している企業の例を紹介していきます。

企業名 対象従業員と金額 支給方法 備考
株式会社ゼクウ 全社員:上限50,000円 実費 ・2020年4月30日制定
・デスクやチェアに対する購入補助『快適イス手当』
株式会社ミクシィ アルバイトを含めた約1,000人が対象:50,000円の特別賞与 一律 2020年5月21日発表
株式会社ドワンゴ ・正社員・契約社員:月額20,000円
アルバイト:日額1,000円
実費と一律 ・2020年7月1日支給開始
・定期代支給廃止、通勤手当は実費精算

特にIT企業では早くから在宅勤務手当を導入しており、支給方法も支給額も会社によってさまざまです。毎月の一定額支給や特別賞与、物品購入費など、従業員を支援する多彩な取り組みが見られます。

在宅勤務手当の相場

在宅勤務手当の支給額は、制度導入のタイミングや業務・業態の違いから、企業によって大きな開きが見られるため明確な相場とはなりませんが、実際には、毎月の一定額支給として3,000円から5,000円を支給している企業が多いようです。

ただし、上記で述べた通り、在宅勤務手当にはさまざまな支給項目があるため、環境整備に関わる実費支給や特別賞与などを考慮すると、実際の支給額は上乗せされるケースがあります。

在宅勤務手当への課税

在宅勤務の場合は、これまでの通常出勤時と変わらぬ給与体系であることが一般的です。在宅勤務手当のみを対象とした税法は現在存在しないため、課税対象となるかは支給方法によってわかれます。

ここでは、以下の2パターンがどのようなケースなのかを紹介します。

  • 課税対象になるケース
  • 課税対象にならないケース

課税対象になるケース

在宅勤務手当が課税対象となるケースは以下の2通りです。

  1. 一律支給の場合
  2. 実費+一律支給の場合

所得税法では、企業から支払われる金品の項目が何であれ、給与としてみなされます。さらに、在宅勤務手当は毎月の給与に上乗せした形で支給されるうえに、使用の制限もないため、法律上では給与として取り扱われ、課税対象となります。

一方、給与扱いにあたらない実費支給分は課税対象とはなりません。「実費+一律支給の場合」の課税対象は、一律支給分のみとなります。

課税対象にならないケース

上記で述べた通り、実費支給は給与とはみなされないため、在宅勤務手当が実費支給の場合は非課税となります。

なお、実費が給与にあたらないのは、「所得税法基本通達28-4」に基づきます。

使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、課税しない。

参照元:所得税法基本通達28-4

これは、業務のために使用したことが明らかであり、実費負担したものは課税対象から外れるということです。

ただし、「使用したことが明らか」でないと、非課税にはなりません。そのため、領収書が必要なことはもちろんのこと、使用目的や用途を明確にする必要があります。

まとめ
  • 在宅勤務手当は「従業員の負担軽減」と「企業の経費削減」が目的
  • メリットは、「導入・維持コスト」の負担軽減
  • デメリットは、経費-手当=自己負担になり得ること(一律支給の場合)
  • 支給金額の相場は月々3,000~5,000円程度
  • 一律支給は課税対象、実費は非課税

 

 

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