ITエンジニアの副業は「週1~2」「土日」だけがトレンド?副業の探し方と注意点
「週1、週2だけでも」「土日だけでも」と副業を検討するITエンジニアが増えています。また、こうしたエンジニア個人の動機に由来するだけでなく、ITエンジニアは「社会から」副業を求められている、そんな時代背景も見られます。
実際に、専門職としての知識やスキルを有するITエンジニアは、ジョブ型雇用との相性のよさ、テレワークとの親和性、成果に準拠した報酬に対する納得感など、副業の際に求められる適性も高いです。
本記事では、副業の探し方や実践する際の注意点など、ITエンジニアの副業事情に迫ります。
ITエンジニアが副業に向いている理由とは?
総務省統計局の調査「副業・兼業及びテレワークの推進における課題について」によると、副業を希望している就業者は年々増加しており、就業者全体に占める割合も右肩上がりに推移しています。
このように副業への熱が高まるなか、ITエンジニアは相対的に有利なポジションをすでに獲得しています。
- ITエンジニアの副業は社会からのニーズが高い
- ITエンジニアの業務特性は副業との相性がよい
ITエンジニアの副業は社会からのニーズが高い
「副業を始めよう」と考えたとしても、そこにニーズがなければ副業案件もありません。こうしたニーズが起点になるという機序を踏まえると、ITエンジニアは極めて有利なポジションにあります。
- あらゆる業界・企業・組織にてIT化が急がれている
- IT人材の需給ギャップが深刻化している
業種や業界、規模を問わず、あらゆる領域でITテクノロジーを用いた業務効率化が求められています。しかし需要が高まる一方で、IT人材の供給量は足りていません。顕在化する需給ギャップを埋めるべく、ITエンジニアの副業を社会が強く要請しているとも解釈できるでしょう。
あらゆる業界・企業・組織にてIT化が急がれている
IT技術を駆使し、事業や行政の変革を促す第4次産業革命(インダストリー4.0)の進行に代表されるように、最新テクノロジーを有効活用した業務効率化の実現は、あらゆる企業や組織、団体における喫緊の課題です。
農業や漁業など、これまでITとは無縁と考えられていた産業においても、テクノロジーを導入して生産性向上を図るケースは無数に見られます。
さらに、人口減少や少子高齢化に伴う労働人口不足といった社会課題も鑑みると、企業が生き残るためにITを活用していくことは、今後ますます避けられない施策となっていくでしょう。
こうした次世代の社会の担い手となるのは、エンジニアを中心としたIT人材にほかなりません。
IT人材の需給ギャップが深刻化している
あらゆる領域でITエンジニアの活躍が求められている一方で、IT人材の供給の見通しは楽観できない状況に陥っています。
経済産業省が公開している参考資料、「IT人材育成の状況等について」では、IT人材の供給は2019年にピークを迎え、以後は需給ギャップが拡大していくシミュレーションが報告されています。2022年時点で約35万人のIT人材の不足が、2025年には約43万人に達し、2030年には約59万人まで拡大していくと予想されているのです。
これは、ITエンジニアひとりあたり期待される役割が、質・量ともにますます高まっていくことを意味します。
ITエンジニアの業務特性は副業との相性がよい
ITエンジニアの副業は社会から求められているだけでなく、その業務特性と副業の相性のよさも特筆すべきポイントです。
- テレワークとの親和性が高い
- 納得感のある成果報酬・単価が提示される
- ジョブ型雇用との相性がよい
副業を始めるうえで考慮すべきは、空き時間の有効活用です。本業と副業を両立するためには、本業に支障が生じるような時間的制約を伴う副業は望ましくありません。場所や時間を問わず副業に取り組める、テレワークこそが理想的な働き方となるでしょう。
その点、ITエンジニアの副業の多くはテレワークで完結できます。これは副業を始めるにあたり大きなアドバンテージとなるものです。
また、副業に取り組むにあたっては、報酬も目を向けるべき要素です。時間あたりの単価を高めることが、副業を成功させるポイントになります。
この点においてもITエンジニアは有利です。副業として考えられる一般的なアルバイトと比較しても、供給の絶対量が足りていないITエンジニアの時給は相対的に高くなるほか、業務委託形式のジョブ型雇用として、案件単価やプロジェクト単価といった時給単価以外の働き方も十分に望めます。
ITエンジニアの副業の探し方
ITエンジニアの副業探しでは、次の点を十分に考慮しましょう。
- 「週1だけ」「週2だけ」「土日だけ」など理想の働き方を選ぶ
- 本業で得たスキルをアウトプットできる副業を選ぶ
- クラウドソーシングに加え派遣での副業探しも選択肢に
「週1だけ」「週2だけ」「土日だけ」など理想の働き方を選ぶ
上述の通り、本業に悪影響をおよぼすような時間的な制約が付随する副業は望ましくありません。「週1だけ」「週2だけ」「土日だけ」といったように、空き時間を有効活用できる副業を探しましょう。
エンジニアの仕事は、繁忙期や急な仕様変更・トラブル時など、残業の発生は珍しくありません。終業後の時間を有効活用しようと考えていても、想定外のスケジュールに巻き込まれてしまうことは多々あるものです。
身体に無理を強いてしまいがちな働き方となる副業は長続きしません。「副業をするのは本業の休日」といったように、メリハリのある働き方を実現できる副業を選びましょう。
さらに、テレワークが可能な副業に絞り込んで探すのもおすすめです。ITエンジニアの副業であれば、こうした条件に沿った案件探しは決して難しいものではありません。
本業で得たスキルをアウトプットできる副業を選ぶ
副業探しのツールとして広く活用されているクラウドソーシングのサービスサイトを閲覧すると、多種多様なエンジニア案件があることがすぐにわかります。
「プログラミング」の切り口に限定しても、その選択肢はさまざまです。
- システムの新規開発
- 既存プログラムの改修やカスタマイズ
- システムの部分開発
また、プログラミング以外の案件もバラエティに富んでいます。
- 設計書や仕様書の制作
- 指定されたサイトを仕様書に基づいてチェックするテスター
- プログラミング初心者に対するオンラインコーチ
- 業界動向や転職体験談についてのライティングやエンジニア系ブログのライティング
このようにITエンジニアの副業は、本業で得たスキルを直接活かす、あるいは成果物の形を変えてアウトプットできるなど、多様な案件に対応できます。仕事の幅を広げながら新たに身につけたスキルは、本業でも大いに役立つでしょう。
クラウドソーシングに加え派遣での副業探しも選択肢に
多種多様な副業のなかから、自身の希望に応じた仕事をどこで見つければよいのでしょうか? 検討される選択肢を考えていきます。
初心者のおすすめはクラウドソーシングサービスの活用
まず考えられるのは、先に例として挙げたクラウドソーシングサービスの活用です。これは特に副業初心者におすすめの方法になります。
副業を始める際は、まずは業務内容や納期などに無理がないものを選び、副業のペースをつかんでいくプロセスを踏むべきです。確実に完遂できるサイズ感や内容の案件選択は、副業探しの重要なポイントになります。
小さいものから大規模なプロジェクトまでバラエティ豊かな案件がそろうクラウドソーシングは、初心者に適した入り口と評価できるでしょう。
知人の紹介案件を受託する
また、仕事関係の知人から紹介された案件を受注する形で副業を始めるケースも多いです。
ITエンジニア一人ひとりのスキルは見えづらく、クオリティや納期への意識、あるいは業務の進め方などにも個性があります。具体的な仕事ぶりを評価する人からの紹介を受けることで、仕事が連鎖していく好循環が生まれていくでしょう。
自分らしい働き方を実現できる派遣案件を探す
さらに近年は、派遣会社でも多様化する企業・エンジニア双方のニーズに応えられるよう、案件を拡充しています。
企業の開発サイクルが短期化するなか、短期、単発、業務委託ニーズも増加しており、エンジニアの自分らしい働き方やキャリア実現をフォローできる、週に数回、数時間だけといった求人案件も用意されています。
副業先との雇用契約や業務委託契約を個人で締結するケースと比較して、勤務時間や給与、待遇などの条件面を事前に確認しやすいことも派遣のメリットです。副業探しの選択肢のひとつとして考えてみましょう。
副業する際の注意点
厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表した2018年は副業元年とも呼ばれ、副業を解禁する企業は急速に増えてきています。
しかし、副業の許容はあくまでも企業それぞれの判断によるものです。副業を解禁したい方針を打ち出してはいるものの、正式なルールとして整備されていないフェーズの企業もあるでしょう。副業を始める際には、就業規則をあらためて確認することは必須になります。
また、副業の成功に欠かせないスキルとして、自分に処理できる業務範囲やスケジュールなど確実に把握する自己管理能力があることも押さえておきましょう。
副業を解禁している企業であっても、その多くは「本業に支障をきたさない範囲」などと限定しているはずです。あくまで本業あっての副業であることを意識し、自分の余力の範囲で処理できる副業を選択しましょう。
確定申告も忘れてはいけません。会社勤めであれば会社が代行してくれていますが、副業による所得が20万円を超えた場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
また、仮に所得が20万円以下であっても、医療費控除を受けるためなど別の理由で確定申告する場合は、副業による所得の記載が必要になることも覚えておきましょう。
派遣での本業×副業のメリット
上記の注意点でも触れたように、副業を実践するうえでは本業とのバランスが大切になりますが、繁忙期など本業の業務量を計算しにくいと悩むITエンジニアも多いでしょう。
そこで有利になるのが、業務量や退勤時間を正確に管理できる派遣社員です。どれくらいの時間を副業に充てられるのか計算が立ちやすい派遣を本業とすれば、副業のメリットの最大化が期待できるのです。
特にITエンジニア領域では、派遣社員の待遇が正社員に匹敵、あるいは上回るような案件も多くなってきました。ダブルワークを念頭に、派遣案件を本業として捉える。そんな柔軟なキャリア選択の実効性は、ITエンジニアならではの強みとなるのかもしれません。
- あらゆる業界にてIT化が急がれるなかIT人材は不足しており、ITエンジニアの副業ニーズは高まっている
- テレワークとの親和性、成果に準拠した報酬に対する納得感など、ITエンジニアの業務特性は副業との相性がよい
- 「週1だけ」「週2だけ」「土日だけ」など理想の働き方を実現できる副業案件を選ぶとよい
- 本業で得たスキルを副業でアウトプットすることも可能
- 副業の際は、所属企業の就業規則を必ず確認すべき
- 副業による所得が20万円を超えた場合は、自分で確定申告を行う