失敗しないはんだ付けのコツ・方法をつかんで仕上がりに差をつけろ
ものづくり、電子機器の製造で使うことも多い「はんだ」。
電子工作には欠かせません。
電気の熱によって、はんだを溶かし、金属を接合します。
「ランド」と呼ばれるはんだ付けする部分についているように見えても、母材とはんだの両方を融点まで温められず、後でポロッととれてしまう難しい工程でもあります。
それは、はんだ濡れ性が良くないのかもしれません。
「はんだ濡れ性」は接合性を示したもので、しっかり接合できてないと機能や安全に大きく関わることもあります。
はんだ性ではなく「はんだ濡れ性」です。
コテもなんとなく選んでませんか?
100円のはんだごてと、20,000円のはんだごてには違いがあるんです。
また電子回路になくてはならないプリント基板のはんだ付けから、顕微鏡を使った極小部品など特殊なはんだ付けと作業自体も様々です。
なんとなくやっているけど、実は奥が深い「はんだ」「はんだの道具」についてご紹介します。
Contents [hide]
はんだの仕上がりはコテひとつで大分違ってくる
意外と多くの人がはんだのコテについて、気にしていないのではないでしょうか?
小手選びのポイントはまず温度です。
適切な温度は糸はんだを溶かして、接合部分に流れ込ませる温度であり、かつ部品の耐熱温度を超えない温度である必要があります。
電子部品などは熱に弱い部品もありますから、あまり高い温度では部品を壊してしまいます。
逆に温度が低いとはんだが溶けるまでに時間がかかり、フラックスが蒸発してしまって接続不良を起こします。
用途が多いなら、温度調節機能がついているコテもあります。
次にコテ先、はんだ付けする部品や目的によって形状が異なります。
コテを選ぶ時には、こて先のバリエーションの多さも念頭に入れておく必要があります。
そして保守部品、良いコテを選ぶなら保守部品の入手性も重要です。
知っていますか?様々なはんだについて
はんだは、主に3種類あります。
■ 糸はんだ
学校の授業でも使った一番メジャーなものです。はんだゴテを使用してます。(※はんだコテではありません。)
糸状ですが、中にはフラックスが入っています。別名、ヤニ入りはんだ。
■ クリームはんだ
表面実装技術で、プリント基板のうえにはんだを印刷する際に使用します。
■ 棒はんだ
挿入実装技術で、はんだ(フロー)槽に使用します。
「鉛フリーはんだ」というのを聞いたことがありますか?
はんだの素材は金属とフラックスです。
金属には鉛が使われることもありますが、鉛は人体や環境に悪影響を与えるということで、銅やスズを使った鉛フリーはんだを使うことが多くなっています。
かつては鉛入りハンダが主流でしたが、ISO14001をとっていると、鉛フリーが必須です。
悪影響は減りましたが、鉛フリーはんだは酸化しやすいため、表面の酸化物を除去したりメンテナンスは必要です。
また、特殊なはんだ付けとして、実体顕微鏡といわれる専用の顕微鏡と細いコテを使って、極小の部品を接合する作業もあります。
小さすぎて部品がコテにくっついてしまうこともあったり、隣の線とつながってしまうはんだブリッジもおこり易く、高い技術が必要です。
他にも、一度はんだ付けした部品を外してつけ直すこともあります。
そんな時のコツはできるだけ、接合部を同時に温めて外すことで母体へのダメージを少なくすることです。
外した後は残ったはんだを取り除きます。
はんだ吸い取り線が一般的ですが、はんだ吸い取り機というのもあります。
そして注意しておきたいのが、見た感じは出来ていても、しっかり接合できていないケースもあるということで。
以下は、はんだの主な失敗例です。
■ トンネルはんだ
しっかりはんだ付けされておらず、見た感じは付いているけれど電気的接触ない。
■ いもはんだ
コテ先に糸はんだを直接当てたことなどが原因でが、通常の輝きがない。ザラザラした粒状。
■ はんだブリッジショート
はんだコテの操作ミスなどにより、本来つける場気でない場所が電気的につながってしまう。
レベルUPを目指すなら、講習・検定もあり
「そうはいっても、なにから覚えればいいの?」という方には、基礎知識・基本からしっかり学べる講習会を受講するのがおすすめです。
特定非営利活動法人日本はんだ付け協会では、習う機会の少ないはんだ付けの技術を学べ、「はんだ付け検定」もあります。
正しいはんだ付けの知識の習得と実習を受けることができるのです。
■ はんだ付け検定3級
共晶はんだ(鉛入りはんだ)で基板に部品を取り付ける基礎的な技術をみる筆記50分、実技120分。
■ はんだ付け検定2級
鉛フリーはんだで基板に部品を取り付ける基礎的な技術をみる筆記50分 実技120分。
■ はんだ付け検定1級
はんだ付けの指導ができるレベルの知識と技術をみる、実技では顕微鏡を使って極小の部品を扱う筆記50分、実技140分。
確かな技術を身に付け、認定を受けるために受講・受検を検討してみてはいかがでしょうか?
はんだは製品のクオリティを左右する
何気なく作業している「はんだ付け」、意外と深いですよね。
目視検査で不良が発見しにくいのも、難しいところです。
また上手に接合されたはんだは、劣化しにくいので、製品の質を左右する重要な部分と言えます。
はんだ付けの確かな知識と技術をつかんで、仕事の仕上がりをワンランクアップさせましょう。