モノづくりの現場で活かせる『工業英検』とは
皆さんは工業英検というのをご存知でしょうか。一般の方には馴染みがないかと思いますが、若い方ですと工業高校生や高専生から積極的にとっている人がいる検定なのです。
では実際にどのような検定で、仕事にはどのように活かされていくのでしょうか。工業英検の歴史や背景を踏まえ、現場の声を交えながらご紹介しましょう。
4級から1級までレベル分けされる工業英検とは?
工業英検とは、公益社団法人日本工業英語協会が行う文部科学省後援の英語検定です。1980年、協会の発足以来約一万人の方が合格認定を受けているそうです。単にテクニカルな英語を覚えれば良いというわけでなく、理解した上でいかに読み手にわかりやすく説明できるかといった能力も求められます。ですから、工業分野だけでなく他産業のマニュアルや契約書にも応用がきく検定と言えるでしょう。
工業英検は4級から、3級、準2級、2級、1級とレベルが設定されていて、工業高校生、高専生から大学院以上の方、さらにはベテラン実務従事者に至るまで能力に合った検定を受検できます。
実際、技術者に英語力は必要なのか
結構勘違いしている方が多いのですが、技術者(IT、工業系問わず)は室内に閉じこもりコンピュータに向かい合ったり設計のみをしていたりしているだけではありません。メーカーとの折衝、クライアントとの打ち合わせも必要であり、相当なコミュニケーション能力が求められます。ましてや、海外へ製品を輸出している企業であれば海外のクライアントとの打ち合わせが必要となるでしょう。
営業だけでは対応できない技術的な提案も、英語力を持った技術者であればフォローできるというわけです。
レベルに沿った工業英検取得までのみちのり
それでは、実際に工業英検を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
まず、中学高校で学ぶ基本的な文法と、“気圧”や“摩擦係数”といった工業英検用の英単語をマスターすれば3級なら合格できるでしょう。それからは、テクニカルライティングの技術や表現力を身につけてようやく2級に合格できるのです。その上の1級に合格するには、スピード、情報整理力、面接対応力などがプラスで求められるので、通信講座やセミナーを活用するといいでしょう。
実際に1級に合格した方の声をご紹介します。
「一人ではモチベーションを維持することができませんでした。そこで、工業英検1級対策講座を受講し、他の受講者と親しくなることによって情報交換や激励のしあいができました。」
元技術者・2013年1級合格
同じ受講仲間を見つけることが効果的なようです。
まとめ
英検やTOEIC(R)テスト、TOEFLといった広く知られている検定と異なり、工業英検は専門的な知識が求められます。しかし、その活躍の場は決して工業の分野にとどまらず、医学書の翻訳や契約書の校閲など分野を超えて有益なのです。
仕事に就くための語学力ではなく、現場に即した語学力を身につけてみてはいかがでしょうか。