派遣ITエンジニア・SEのメリットは「自由な働き方」!一方で「やめとけ」と言われるデメリットとは?
ワークライフバランスの捉え方やキャリア志向に応じて、エンジニアは「働き方」をフレキシブルに選びやすい職種です。自身のスキルアップやスキルの多様性、経験値を高めていくことが、雇用形態を問わず年収に直結しやすい職種でもあるため、正社員のみならず、フリーランスや派遣社員として活躍しているエンジニアも少なくありません。
この記事では「派遣の働き方」に焦点をあて、派遣エンジニアの種類や仕事の内容、キャリアプランの考え方について解説します。
POINT
- 派遣エンジニアの雇用形態には「登録型派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」がある
- 未経験から挑戦できる求人もあるが、一定水準の知識や技術は欠かせない
- 派遣エンジニアの平均時給は比較的高水準。「同一労働同一賃金」で底上げも
- 雇用や収入の不安定さやキャリアの見通しが不透明なことから「やめとけ」と言われる働き方でもあり、明確にキャリアパスを描き、それに応じた業務履歴を残していくことが大切
Contents
派遣ITエンジニアとは
派遣ITエンジニアは、派遣元企業(派遣会社)と雇用契約を結び、実務を行う企業(派遣先企業)に派遣される雇用形態のエンジニアです。
派遣先企業とは直接の雇用契約を結ばず、契約は派遣会社と交わす点に特徴があり、派遣会社と派遣先企業は、それぞれ労働者派遣契約を結びます。
派遣ITエンジニアの働き方
派遣ITエンジニアには、主に3つの働き方があります。
●登録型派遣
派遣労働者の半分以上を占める 一般的な働き方が、この「登録型」です。登録型派遣エンジニアは派遣会社からの紹介を受け、職務内容や派遣先企業が自身の希望と合致する場合に雇用契約を結びます。
雇用契約は、派遣会社と派遣先企業の間で定められた契約期間に限定される有期雇用となります。自身の望むキャリアプランや保有するスキルに合わせて派遣先企業を選択できる、フレキシブルな働き方がメリットです。
●常用型派遣
派遣会社の「社員」の立場で派遣先企業に派遣される働き方です。ここでの「社員」とは、正社員に限らず、更新が前提とされる契約社員も該当します。
雇用契約は無期雇用となることが一般的であり、中長期的な安定収入を見込みやすい点がメリットです。
●紹介予定派遣
派遣先企業に正社員や契約社員として直接雇用が見込まれている前提で、一定期間派遣エンジニアとして勤務する形態です。雇用を希望する企業で実際に働いてから入社を決められる点にメリットがあります。
派遣ITエンジニアは未経験でもなれるのか
派遣エンジニアは未経験でも挑戦できる職種です。
ただし、ここでいう未経験とは『実務未経験』の意味である点に注意してください。エンジニアという職業には専門的な知識とスキルが要求されるため、一定水準の知識や技術は欠かせないものです。少なくともHTML、CSSは独学でも学習しておきましょう。
マークアップ言語やスタイルシート言語だけなら、習得はさほど難しいものではありません。3ヶ月程度の独学でも毎日の学習を積み重ねれば、Webサイトの基本的な設計であれば構築できるレベルになるでしょう。
派遣ITエンジニアの種類
派遣ITエンジニアにはさまざまな種類・職種があり、それに応じて働き方や求められる知識・スキルが変わってきます。
種類 | 職務内容 |
---|---|
システム開発(SE、PG) | システムエンジニアと呼ばれる、システムの設計から開発、クライアントとのヒアリングまでを一貫して行うエンジニアです |
プログラマー | プログラミング言語でコードを記述していき、実際にプログラムを組むポジションです。幅広い言語知識が必要になります。 |
ネットワークエンジニア | ネットワーク設計から保守・運用までを担当するエンジニアです。障害が起きたときの対応も担います。 |
アプリケーションエンジニア | アプリを開発するエンジニアです。開発するサービスの種類や公開するOSの違いに応じて、必要とされる知識や技術は異なります。 |
Webエンジニア | Webブラウザに表示されるもの全般を扱うエンジニアです。主にWebサイトやWebページを制作します。 |
フロントエンドエンジニア | マークアップ言語やJavaScriptなどを用いてWebブラウザやWebアプリに表示されるフロントエンド部分を開発するエンジニアです。SEOなど広範な知識が求められます。 |
サーバーサイドエンジニア | サーバー側のさまざまな処理に対応するエンジニアです。データベースなどバックエンドの知識や技術が欠かせません。 |
コーダー | HTML、CSSのマークアップ言語を用いて、Webデザイナーから指示された設計に従ってWebページを構築します。 |
マークアップエンジニア | マークアップ言語だけでなく、JavaScriptなどを用いてより高度なコーディングをするエンジニアです。CMS設計などではSEOなどの知識も必要です。 |
セールスエンジニア | 顧客へのシステム説明や、質問応対を担うエンジニアです。システム製品の提案にも関わり、契約に結びつけることも役割となります。 |
テストエンジニア | システムや製品にバグなど不具合がないかをチェックするエンジニアです。テスト項目を把握し、仕様書どおりに動くか確認する重要なポジションを担います。 |
テクニカルサポート | お客様からのITに関する問い合わせに対応します。わかりやすく説明するための知識は必要ですが、開発などは行わないことが一般的です。 |
派遣SE(システムエンジニア)の仕事内容
システムエンジニアの仕事内容は多岐に渡ります。
- システム設計/開発
- アプリ/システムの運用
- データベースの管理
- 保守管理
- システム導入後の分析/評価
- IT関連の問い合わせ対応
仕事内容に応じて、それぞれに必要なスキルや知識が変わってくるため、自身の強みを活かす働き方や、希望するキャリアプランに応じた働き方を目指すなど、多様な選択肢がある点が派遣SEの特徴です。
派遣SE(システムエンジニア)のメリット
派遣システムエンジニアの大きなメリットは、労働時間をある程度コントロールでき、自身の望むライフスタイルに合致した働き方を実現できる点にあります。育児や家族の介護など、自身の置かれている環境から毎日の出勤やフルタイム勤務が難しい方でも、システムエンジニアとして活躍することが可能です。
このように、派遣システムエンジニアにはさまざまなメリットがあります。
- フレキシブルな働き方でワークライフバランスを保てる
- 多くの仕事内容や職場を経験できる
- 未経験者・初級者でも応募できる求人がある
- 高収入も期待できる
フレキシブルな働き方でワークライフバランスを保てる
派遣エンジニアの最大のともいえるメリットは、自由な働き方が可能なことです。働き時間や場所などを柔軟に選べ、自分のライフスタイルや希望するスケジュールに合わせて、ワークライフバランスを保ちながら働けます。プロジェクト単位で契約を結ぶことが多く、長期的な拘束がないため、時間的な自由を得られるのが特徴です。
また、リモートワークの機会が増えたことにより、自宅で仕事を行うケースも増加しています。
さまざまな仕事内容や職場を経験できる
登録型派遣システムエンジニアは、派遣会社の紹介を受け、自身の希望やスキルと照らし合わせたうえで派遣先企業を決定します。自身で営業をかけることなく、仕事内容を柔軟に選択できるため、キャリアプランを形成しやすい点がメリットです。
システムエンジニアとしてどのようなキャリアを歩んでいきたいのか、どのスキルを伸ばしていきたいのか。イメージする未来に向けて、自身が望む経験や実績を身に着けられます。
未経験者・初級者でも応募できる求人がある
開発の上流工程を担うことが多いシステムエンジニアは、就業のためのハードルが高いイメージがありますが、派遣の雇用形態であれば、そのハードルはいくぶん下がることもあります。実際に、初級者や未経験者も歓迎している派遣求人も存在します。
スキルアップに応じて高年収も期待できる
近年の派遣法改正の目玉となった「同一労働同一賃金」。これは、派遣社員やパートなどの非正規雇用と、正社員(正規雇用)の賃金格差を是正するもので、雇用形態を問わず「同じ労働であれば同じ賃金」を意味します。これまで存在していた賃金格差が無くなることで、派遣エンジニアの賃金が底上げされることは十分に考えられるでしょう。
また、自身のスキルによる部分は大きいですが、もともと派遣システムエンジニアの平均時給は比較的高水準となっています。経験を積み、より専門的な知識や技術を得られれば、さらなる収入アップも期待できる職種です。
派遣SEのデメリットと「やめとけ」と言われる理由
派遣システムエンジニアには多くのメリットがある一方で、「やめとけ」と否定的な意見が聞かれることもあります。それは、次のような点がデメリットとして懸念されているからと考えられます。
- 正社員に比べると収入の安定性に欠ける
- キャリアプランをしっかりと描く必要がある
- 常に知識や技術を磨いておかなければならない
第一に挙げられるのは、雇用や収入の不安定さです。正社員とは異なり、派遣エンジニアは短期的な契約であることが多く、契約が終了すると次の仕事が見つかるまで収入が途絶えるリスクがあります。
次に、キャリアの見通しが不透明だという点も理由のひとつです。派遣エンジニアはプロジェクトごとに業務が異なるため、一貫したキャリアパスを描きにくいと考えられることもあります。また、これは派遣という雇用形態に限った話ではありませんが、エンジニアは常に自己研鑽が求められる、厳しい職種であることも「やめとけ」と言われる理由でしょう。
派遣エンジニアとして就業するにあたっては、これらの課題についてしっかり理解しておくことが重要です。
正社員に比べると仕事の安定性に欠ける
登録型派遣の場合は有期雇用契約となるため、収入が途切れてしまう期間が生じることがあります。正社員と比較すると、安定性ではどうしても及ばないのが実情です。ただし、常用型派遣であれば派遣先が決まっていない状態でも給与は支払われるため、ある程度の安定は確保されます。
キャリアプランをしっかりと描く必要がある
派遣システムエンジニアは原則として3年までしか同じ職場の部署で働けないため、就労前にキャリアパスを明確に描いておく必要があります。自分の希望するキャリアプランに応じた就労先を選択し続けなければいけません。
一方で、明確なキャリアパスに則り、一貫した業務履歴を残していければ実績と経験は自然と積み重なり、人材市場でより高く評価されるエンジニアとして成長できます。最終決定は自分でする意識を常に持ち、エンジニアとしてのキャリアを選んでいきましょう。
常に知識や技術を磨いておかなければならない
派遣エンジニアが比較的高時給で雇用されている理由は、高い専門知識や技術が必要とされる職種だからにほかなりません。そのため、最新のIT技術や知識のアップデートは不可欠です。そうでなければ、派遣先企業やクライアントからの評価も受けられなくなるでしょう。
常に知識や技術を磨き、より価値の高い人材を目指しましょう。
派遣SE(システムエンジニア)が向いている人
派遣システムエンジニアに向いている方には、下記のような特徴があります。
- さまざまな職場で働きたい人
- エンジニアとしてキャリアパスを描けている人
- ワークライフバランスを重視した働き方を希望する人
- コミュニケーションが得意な人
派遣システムエンジニアは就労先や働き方を柔軟に選べるため、特に明確にキャリアパスを描けているエンジニアに適した雇用形態です。さまざまな職場で働きつつ実績や経験を積めることは、大きなメリットとなるでしょう。
また、勤務時間や出勤頻度からも就業先を選べるため、ワークライフバランスを重視する場合にも適しています。
なお、エンジニアは黙々と作業をしているイメージだと思われがちですが、実際はWebデザイナーやクライアントをはじめ、さまざまな関係者と連携して業務を進めていくものです。派遣先企業での上手な立ち振る舞いや、業務間を取り持つコミュニケーションが得意な方こそ、派遣システムエンジニアの適性が高いといえるでしょう。
- 派遣エンジニアの雇用形態には「登録型派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」がある
- 登録型派遣は有期雇用。キャリアプランや保有するスキルに合わせて派遣先企業を選択できる、フレキシブルな働き方がメリット
- 常用型派遣は無期雇用。中長期的な安定収入を見込みやすい点がメリット
- 未経験から挑戦できる求人もあるが、一定水準の知識や技術は欠かせない
- 派遣エンジニアの平均時給は比較的高水準。「同一労働同一賃金」で底上げも
- キャリアパスを明確に描き、それに応じた業務履歴を残していくことが大切