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紹介予定派遣とは?通常の派遣との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ライフスタイルが多様化し、自分らしく柔軟な働き方を志向する人が増えています。派遣社員からの正社員雇用や直接雇用が念頭に置かれた、「紹介予定派遣」での就業を検討している人も多いのではないでしょうか?

紹介予定派遣とは、最長6か月の派遣期間を経て、正社員や契約社員など直接雇用に至ることを前提とした派遣雇用法式です。

本記事では、紹介予定派遣での勤務を検討する求職者に向け、紹介予定派遣の特徴やメリット、適性を紹介。一方、「紹介予定派遣はやめた方がいい」ともいわれる理由となっている、紹介予定派遣のデメリットなどについても考察します。

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは、最長6か月の派遣期間が終了したのちに、派遣労働者と派遣先企業双方の合意を経て、直接雇用に切り替えられる働き方のことです。

なお、厚生労働省では紹介予定派遣を以下のように定義しています。

紹介予定派遣とは、法第5条第1項の許可を受けた派遣元事業主が、労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び派遣先に対して、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含む(法第2条第4号)。

引用:紹介予定派遣とは|厚生労働省

通常の派遣との違い

通常の派遣雇用と紹介予定派遣の大きな違いは、派遣期間終了後に、派遣先企業との直接雇用が結ばれることを前提としているか否かという点にあります。

通常の派遣では、派遣会社の紹介によって派遣先企業で一定期間働くこととなります。この場合、同一の課や部署で継続して働ける期間は3年と定められています。紹介予定派遣とは異なり、派遣期間終了後の派遣先企業での直接雇用への切り替えは前提とされていません。

また、通常の派遣では派遣前の面接などが行えないのに対し、紹介予定派遣では面接や選考を実施できます。

人材紹介との違い

人材紹介とは、企業が求める条件に合致した人材を紹介するサービスです。採用要件を満たす人材として企業に紹介された後は、企業と直接雇用を結ぶケースが一般的です。

つまり紹介予定派遣と人材紹介はまったく異なるもので、人材紹介では「最長6か月間の派遣期間」などの条件は求められず、採用後にはその企業の一般社員と同様に、直接雇用として働くこととなります。

正社員との違い

求人募集への応募などを介して正社員として採用された場合、すぐに企業と直接雇用に至ります。

一方、紹介予定派遣は、最長6か月の派遣期間終了後に正社員として登用される可能性を考慮した雇用方式です。正社員登用後の働き方や待遇は、その企業の一般社員と同様になります。

紹介予定派遣は、採用前に派遣社員として勤務し、その職場の雰囲気や業務内容を把握できることが特徴です。特にITエンジニアのような専門領域の場合、職場で使われているプログラミング言語やツールなどを事前に確認できることは大きなメリットとなるでしょう。

 

紹介予定派遣の特徴

紹介予定派遣には、主に次の3つの特徴があります。

派遣期間は最長6か月間
  • 通常の派遣雇用よりも短期間の雇用となる
  • 派遣期間中に、労働者と企業の双方がマッチング度を判断できる
事前面接・選考が可能
  • 企業側は人材のスキルや適正などを確認してから採用できる
  • 求職者側は、紹介予定派遣を断られる可能性がある
直接雇用後に条件が変わる可能性
  • 契約前に直接採用後の条件提示が必要
  • 直接雇用後の待遇について、派遣期間中の再交渉も可能

派遣期間は最長6か月間

通常の派遣雇用では、「同一の課や部署での派遣は3年間まで」となりますが、紹介予定派遣の派遣期間は最長6か月と定められています。

相対的に短期間の派遣雇用となりますが、これは派遣期間終了後の直接雇用が前提とされているためです。この6か月の間に、派遣労働者と派遣先企業の双方は、働き方や職場の雰囲気などのマッチング度合いを確認できます。

事前面接・選考が可能

通常の派遣では、派遣労働者に対しての事前面接や選考は行えません。一方、紹介予定派遣では、こちらも派遣終了後の直接雇用を前提としていることから、企業による面接や選考を実施できます。

企業側は、面接などを経て紹介予定派遣を希望する人材のスキルや適正などを確認してから、紹介予定派遣に踏み切れます。これは紹介予定派遣を希望する求職者側から見ると、面接・選考にて紹介予定派遣を断られる可能性があるということです。

直接雇用後に条件が変わる可能性

紹介予定派遣では、契約前に直接雇用後の条件提示が必要です。ただし直接雇用後の待遇については、派遣期間中に再交渉を行うことも可能です。

紹介予定派遣で働く労働者は、業務を体験しながら待遇について再考し、交渉できます。企業側は、事前に提示した条件とは異なる待遇で採用する可能性があることを把握しておく必要があります。

 

紹介予定派遣のメリット

紹介予定派遣には、主に次のようなメリットがあります。

  • 直接雇用になる確率が高い
  • 派遣元企業(派遣会社)のフォローアップがある
  • 理想の職場環境を選べる
  • 実際の業務を通じてマッチングを図れる

直接雇用や正社員になる確率が高い

紹介予定派遣は、正社員や契約社員など、派遣先企業との直接雇用を前提とした方式です。通常の派遣よりも直接雇用や正社員に至る確率は高く、直接雇用を望む労働者に適した働き方となるでしょう。

なお、厚生労働省が報告した「令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、紹介予定派遣を経て、約57%の労働者は直接雇用に移行しています。紹介予定派遣で働く労働者22,251人に対して、半数以上の12,630人が直接雇用となりました。

紹介予定派遣から直接雇用や正社員として雇用される可能性を高めるために、意欲的に業務に取り組むとよいでしょう。

派遣元(派遣会社)のフォローアップがある

派遣先からの直接雇用に移行するにあたり、紹介予定派遣では派遣会社による条件の交渉代行などのフォローアップを受けられます。

雇用形態や待遇などに関わる交渉を難しく感じる人も多くいるでしょう。正社員採用の求人に応募して採用に至る場合、さまざまな交渉は求職者自身が行わなくてはなりません。一方、条件交渉を派遣会社が代行する紹介予定派遣では、より適切な働き方を選択できるようになります。

理想の職場環境を選べる

最長6か月の派遣期間は、いわば「体験期間」としても機能します。紹介予定派遣を有効に活用し、自身が理想とする職場環境を探しながら働くことも可能です。

紹介予定派遣では、直接雇用を断ったとしても、次の派遣先に移行できます。いくつかの職場を体験して、自身によりマッチする企業での直接雇用を志向できます。

実際の業務を通じてマッチングを図れる

一般的な正社員採用と異なり、事前に業務レベルでのマッチングを図れる点も紹介予定派遣のメリットです。これは企業側にもメリットとなるもので、自社の風土に合う人材か事前に確認できます。

直接雇用を前に、自分に向いていない業務や職場であると判断した場合には、直接雇用を断ることも可能です。

 

紹介予定派遣のデメリット

労働者と企業、双方に多くのメリットがある一方で、紹介予定派遣には次のような懸念点もあります。

  • 直接雇用にならないケースもある
  • 派遣期間中の福利厚生の取り扱い

まず理解すべき点は、紹介予定派遣として勤務したのちに、必ずしも直接雇用に至るとは限らないことです。また、派遣期間中は有給算定期間にカウントされないことがあるなど、福利厚生にも影響がおよぶ点も知っておきましょう。

直接雇用にならないケースもある

先述した通り、紹介予定派遣を経て派遣先企業と直接雇用を結んだ派遣社員は約57%と報告されています。この数字の高低評価は個々人で分かれるものではありますが、いずれにせよすべてのパターンで直接雇用に至っているわけではありません。

紹介予定派遣では、派遣労働者と企業の双方が直接雇用を断ることができます。最長で6カ月間、実際に働いてみた結果、自身にはマッチしないと派遣労働者側が判断したとき、あるいは自社の人材要件を満たしていないと企業側が判断したときには、直接雇用になりません。

派遣先企業との直接雇用を志向する求職者は、次のような対策を講じるべきでしょう。

  • 派遣会社に相談し、派遣先をじっくり選定する
  • 派遣後には意欲的に業務に取り組む
  • 自身が優秀な人材であることを派遣先企業にアピールする

派遣期間中の福利厚生の取り扱い

紹介予定派遣として働く際は、次の点について事前に確認しておきましょう。以下の算定期間に、派遣期間が含まれない企業もあるためです。

  • 採用後の有給休暇の算定期間のカウント方法
  • 育児休業などの各種休業に関する算定期間
  • 退職金などの算定期間

たとえば、最長6か月の派遣期間が有給算定期間にカウントされないとします。この場合は、直接雇用後に有給休暇が付与されるまでに時間を要してしまうことになります。

紹介予定派遣が向いている人

紹介予定派遣は、次のように考える求職者に適した働き方です。

●職場環境や業務を把握してから正社員になりたい人

派遣社員として実際に業務を経験してから直接雇用契約を結ぶ紹介予定派遣であれば、事前に職場環境や業務プロセスを把握できます。正社員として働くのは、自身の適正を見極めてからで構いません。

●未経験の業界や職種で働いてみたい人

未経験の業界や職種に挑戦したいと考えているものの、自身の適正がわからないため不安に感じる。そんな求職者も、紹介予定派遣の活用がおすすめです。

紹介予定派遣はやめたほうがいい人

紹介予定派遣は、のちの正社員雇用や直接雇用が前提です。これは、将来的に同一企業で長期間働く可能性が高くなるとも言い換えられます。働く時間や場所を柔軟に決定したい人には向いていないともいえるかもしれません。

より自由な環境で働きたい、家庭やプライベートを重視したいといった柔軟な働き方を望む人や、過度な責任やストレスを背負いたくないという人であれば、通常の派遣契約のほうが向いている可能性があります。

 

まとめ
  • 紹介予定派遣とは、最長6か月の派遣期間が終了したのちに、派遣労働者と派遣先企業双方の合意を経て、直接雇用に切り替えられる働き方のこと
  • 直接雇用前に派遣社員として勤務し、職場の雰囲気や業務内容を把握できる
  • 派遣終了後の直接雇用を前提としていることから、紹介予定派遣では企業による面接や選考を実施できる
  • 求職者側から見ると、面接・選考にて紹介予定派遣を断られる可能性がある
  • 紹介予定派遣では、契約前に直接雇用後の条件提示が必要となるが、派遣期間中の再交渉も可能
  • 厚生労働省の令和3年度の報告では、紹介予定派遣を経て、約57%の労働者が直接雇用に移行している
  • 直接雇用に移行するにあたり、派遣会社による条件の交渉代行などのフォローアップを受けられる
  • 派遣期間中の福利厚生の取り扱いについて、事前に確認しておくべき

 

 

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