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50代エンジニアの需要が高まっていく理由|生涯必要とされ続けるキャリアの築き方のポイントとは

少子高齢化が進行し、若手人材が不足傾向に陥っている情勢を受け、今後増加していくと見られるシニア世代のエンジニア登用に注目が集まっています。50代以降のエンジニアは、今後どのような点に気を配り自己研鑽を続け、自身に適した働き方を選択していくべきなのでしょうか?

本記事では、50代以降から定年退職後の働き方までを検討しているエンジニアに向けて、生涯必要とされ続けるキャリア構築のポイントについて解説します。

POINT

  • 50代エンジニアは今後増していき、2030年のIT人材年齢分布において、50歳以上の人材は約27%のボリュームに達すると予測されている
  • 即戦力として活躍できるスキルはもちろんのこと、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルも重視される
  • 経験してきた案件数や乗り越えてきた課題の数から、メンターの役割を担える人間性も期待される

50代エンジニアは今後増え続ける

さまざまな業界にて人材の高齢化が大きな課題とされている昨今、IT業界でも50代のエンジニアが増加していくことが見込まれています。

経済産業省による報告「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の年齢分布は2030年には29歳以下の若手層が約24%を占める一方で、50歳以上の人材も約27%のボリュームに達すると予測されています。

※画像引用:IT人材需給に関する調査|経済産業省

その一方で、2015年時点では全体の64%を超えていた中間層である30~49歳の人材の割合は、2030年には50%を下回るとされており、中堅人材の不足も見込まれます。

つまり、50代エンジニアは今後ますます「当たり前」の存在となっていき、豊富な知見を有するシニア世代のエンジニアの需要も増していく可能性が高いということです。エンジニア職を長年継続している信頼性や豊かな経験に裏付けられた課題解決能力などは、若手人材にはないシニア人材ならではの特性として重宝されることになるでしょう。

 

「需要がある50代エンジニア」に必要な能力

では、50代を過ぎても多くの企業から求められ続けるエンジニアになるためには、どのような能力が求められるのでしょうか? 主に次の3つの観点から考えていきます。

  • 即戦力として活躍できるスキル・技術
  • 新しい技術をキャッチアップし続ける姿勢
  • メンターの役割を担える人間性

 

即戦力として活躍できるスキル・技術

まず前提として、50代エンジニアには即戦力として活躍できる高いスキルや技術が求められます。「経験を重ねている分、若手よりもスキルが豊富である」と捉えられる傾向が根強く残っているためです。

つまり、企業が求める役割や成果に対して、確実に結果を出し貢献できる技術やスキルは欠かせません。エンジニアに限らず、シニア人材には自身の過去の成功体験を語る方も多くいますが、重要なのは「いま活躍できるスキル」であることを念頭に入れておく必要があります。

 

新しい技術をキャッチアップし続ける姿勢

「年齢を重ねたエンジニアは、新しい技術への対応力が低い」と誤解している企業もあります。

新しい技術に対応し続けるとは、「学習し続ける」と同義です。しかし学習意欲や学習効率の低下を実感してしまうこともあるでしょう。あるいは、過去に習得した技術や考え方に固執してしまい、新しいもの自体を受け入れがたく感じることもあるかもしれません。

大切なのは、いまの自分を受け入れ、咀嚼し、アップデートを志向する姿勢です。自分の現状を理解し、そのうえでどのように学習に取り組むべきかを考え、常に新しい技術や情報を取り入れながらスキルを磨いていきましょう。

 

メンターの役割を担える人間性

経験豊富な50代のエンジニアには、マネジメントスキルやコミュニケーションスキル、そして人間性も期待されます。

仮に技術面での能力が同等の場合でも、20代と50代では経験してきた案件数や乗り越えてきた課題の数には明確な差があります。若手人材の相談に乗りながら、ともに課題を解決していく。そんなメンターとしての役割が求められる傾向は強く見られるものです。

また、若手エンジニアの相談に対して、適切に助言できる人材は現状では多くありません。そこにシニアエンジニアの活躍のヒントがあります。マネジメントスキルやコミュニケーションスキルを有する50代エンジニアは、メンター的役回りを積極的に担うことで、長く活躍できるようになるでしょう。

 

50代エンジニアが注意すべき行動・考え方

50代エンジニアが注意すべき行動や考え方として、次の3点を意識しておくとよいでしょう。

  • 自分のやり方に固執しない
  • 過去の実績や経験に捉われない
  • 異なる世代とも調和する

 

自分のやり方に固執しない

シニアエンジニアは、自分のやり方に固執してしまう傾向があります。既存の業務手法に留まろうとするのではなく、情報や技術のアップデートを図ることが重要になってくるでしょう。

各現場のやり方や近年の潮流に合わせながら、自分のスキルを最大限に発揮していくことが、エンジニアとして求められる貢献につながっていきます。

 

過去の実績や経験に捉われない

過去に携わった大きな案件やさまざまな経験は、これからの仕事に活かしていくものです。権威を示すために語るものではありません。

周囲からすれば、過去の実績や経験そのものは、今の仕事には関係のないものです。にもかかわらず、つい昔話をしてしまう方は少なくありません。

現場で求められているものは、過去の実績や経験に根差した問題解決能力やアイデアです。「これから」の仕事に「これまで」の経験をどのように活かせるのかを考えつつ、仕事に取り組むとよいでしょう。

 

異なる世代とも調和する

今後のエンジニアは、さまざまな世代と調和を図りながら業務を進める必要があります。そのようななかで、世代間のギャップを感じる場面も多々あるはずです。しかし、世代によって考え方や常識とされることは異なるため、自分の価値観を基準に相手を計るようなことをすれば調和は難しくなってしまいます。

これまでに培った価値観や経験が成果につながることがある一方で、それらが正しいとは限りません。必要とされているのは、世代や常識が異なっていても、同じ方向に向かって進める人材です。自身と相手の違いや考え方のギャップを調整しながら、調和できるよう努めましょう。

 

50代エンジニアの働き方の選択肢

ここまでに紹介した能力を備えた50代エンジニアのこれからの働き方には、複数の選択肢があります。

選択肢 メリット デメリット
転職する 正社員
  • 収入が安定する
  • 同じ会社で必要な知識を蓄積できる
  • 所属する会社の枠組みで評価や収入が決まる
派遣社員
  • スポット的に希望する案件に参画できる
  • 収入が不安定になる可能性がある
契約社員
  • 一定期間会社に所属しながら経験を積める
  • 福利厚生制度の利用や社会保険加入が可能なケースもある
  • 長期間同じ会社で働くことができない
  • 昇給や退職金が見込めないケースもある
独立する フリーランス
  • 仕事や条件を選択できる
  • 正社員よりも収入が上がる可能性がある
  • 営業力が必要
  • 実績や高い技術力・専門性などが求められがち
起業
  • これまで培った経験やスキルを活かして仕事を選択できる
  • 正社員よりも収入が多くなる可能性がある
  • エンジニア業務以外の作業が発生する
  • 収入が不安定

 

転職する

50代のエンジニア転職では、キャリアアップして収入を増やせる可能性がある一方で、転職市場で求められるスキルに達していない場合には収入が減少してしまうことも懸念されます。

50代からの転職を考えている場合には、まずは自身の経験やスキルの棚卸しを綿密に行い、どのような分野や業務に精通しているのかを熟慮したうえで転職先を検討しましょう。前述の通り、高いスキルを持つ即戦力人材は、年齢にかかわらず重宝される傾向です。

また、マネジメント経験がある場合は、マネジメントレイヤーでの転職の可能性も見えてきます。現在よりもよい待遇を得たい方や安定した収入を得たい方、同じ会社で働き続け知識を蓄積したい方には、転職が向いているといえるでしょう。

 

正社員

50代のエンジニアが正社員として転職する際、給与などの待遇が下がってしまうケースがある点に注意が必要です。一方で、マネジメント経験がある方は管理職として転職できる可能性も十分に見込めます。

なお、正社員としての転職では、開発スキルとともにマネジメントスキルが重視される傾向です。キャリアアップを目指す方、安定した収入を得たい方は正社員への転職が向いています。

 

派遣社員

「派遣社員は比較的若い世代に向いた働き方」、そんなイメージがあるかもしれませんが、50代や定年退職のタイミングにて派遣社員に転身する例は増えています。

再雇用制度が浸透し、シニア世代が仕事を継続する環境は整備されてきています。しかし、再雇用にあたっての年収ダウンや、事務系職への配置転換といった職務内容の変更も危惧されます。

そこで、好きな仕事である開発職を続けるために、有力な選択肢となるのが派遣社員です。また、派遣社員を登用する企業側においても、年齢要件を緩和する傾向が見られます。

派遣会社に登録してエンジニアとして働く場合のメリットは、自身のスキルや専門性、あるいは興味関心に基づいて、参画する案件を選択できることにあります。ただし、派遣案件がないときには収入が途絶えてしまう点に注意しましょう。

スポット的に業務に携わる派遣社員には、即戦力となる開発スキルとコミュニケーションスキルが求められます。なかでも、さまざまな職場にて多くの人と力を合わせて円滑に業務を遂行できるコミュニケーションスキルは、派遣社員に必須の能力といっても過言ではありません。

派遣社員は、より自由度の高い働き方を求めている方にもおすすめの働き方です。自身のスキルや経験を提供する案件を選べる派遣社員は、ジョブ型雇用の有力な選択肢となるでしょう。

 

契約社員

50代のエンジニアが契約社員として働く場合、一定期間同じ企業で経験を積めることや、その間の安定収入を確保できることはメリットです。一方、長期間同じ企業で働くことが難しく、昇給や退職金を望めないことはデメリットとなります。

短期間の雇用となる契約社員も、派遣社員と同様に即戦力となるスキルとコミュニケーションスキルが求められます。契約社員は、派遣よりも安定した収入や待遇を望む方、さまざまな企業にこれまでに獲得したスキルを提供したい方に向いている働き方です。

 

独立する

50代エンジニアの働き方の選択肢には、独立という方法もあります。個人事業主として働くフリーランスと、会社を立ち上げ経営する起業の2つのパターンが考えられるでしょう。

独立後に成功するためには、さまざまな実績と経験に加え、人脈や営業力も欠かせません。自身の手で望む案件を獲得していきたい方、正社員よりも高い収入を得たい方におすすめの選択肢です。

 

フリーランス

フリーランスは、仕事や仕事を行う場所を自分で選べる働き方です。働き方の自由度が高いため、自分の体調や意欲を鑑みながら仕事を選択できます。

50代のエンジニアがフリーランスを選択する場合、案件の内容を選べるだけでなく、案件の選択や有するスキルによっては正社員よりも収入を向上できる可能性があります。一方で、自分で仕事を獲得しなければならないハードルも存在しています。

フリーランスは、高いスキルと豊富な実績・経験を持つ方、それらを特定の会社ではなく多くの会社に提供したい方、場所によらない働き方をしたい方におすすめです。

 

起業

会社を立ち上げ起業した場合は、企業からの案件を受託するほか、アプリケーションやサービスの自社開発などが考えられます。大型の案件を受注したい場合には、社員を雇う必要性もあるでしょう。

50代のエンジニアが起業する場合、これまでの経験をさらなる挑戦に活かせることは代えがたいメリットです。また、フリーランスよりも大型の案件を受注できる可能性が高まるため、収入アップも期待できます。その一方で、収入が不安定になる可能性がある点や、エンジニア業務以外の業務が発生する点には注意が必要です。

起業をして成功するためには、豊富な経験とスキルはもちろんのこと、顧客や社員と円滑にコミュニケーションをとるため、また仕事を獲得するためのコミュニケーションスキルが必要です。人脈を自身の手で構築していく力や、トラブルにも冷静に対処する力、事務業務に関するスキルも重要になります。

起業は、これからも挑戦を続けていきたい方やさらなる収入アップを目指す方、自身の手で解決したい課題や開発したいサービスがある方などにおすすめです。

 

シニアエンジニアが活躍している事例

今後、50代エンジニアの存在感はますます増していき、定年後からでも十分に活躍できる余地があることを踏まえたうえで、実際にシニアエンジニアが活躍している2つの事例を紹介します。

現在、派遣エンジニアとして活躍している2人には、同一の企業で定年まで長く経験を積んできたという共通点があります。そして定年後、培った技術力をこれまでとは異なる業界に提供し、複数の企業に貢献しています。

 

定年後の夢は宇宙 派遣エンジニアとして出会った新しい道

地元の医療機器メーカーで定年まで働いていた小池さんは、現在は東京の宇宙開発系企業に参画しています。定年後の身の振りを考えていたとき、元同僚が60歳から新たな職場にチャレンジしていること知り、派遣社員として宇宙産業にかかわる企業の現場で業務にあたるようになったといいます。

派遣社員となったいま、自分がかかわったデバイスを搭載した人工衛星が宇宙へいくことを考えるとワクワクすると語る小池さん。自宅のある静岡から東京まで通勤し業務にあたりながらも、趣味のランニングに取り組むなど、仕事とプライベートのどちらも充実した毎日を送っているそうです。

詳しくは、こちらのインタビューページをご覧ください。
https://staff.persol-xtech.co.jp/guide/interview/001.html

 

派遣エンジニアになり、新しい働き方を選んだ

定年までは正社員として、冷熱機器に特化した製品開発にあたっていた伊東さん。派遣社員として活躍している現在は、自動車関連や風力発電など、さまざまな業界に技術力を提供しています。また、伊東さんの場合、常に新鮮な気持ちでひとつのプロジェクトに集中して取り組むために、定期的に就業先を変えています。

定年まで勤めあげた会社での再雇用の道もあったものの、「明確な要求に対して、効率よく最適なアウトプットを出す」ことを求められる派遣エンジニアに魅力を感じたといいます。現在は、若手社員への技術教育も行っており、自分の知識や経験を若手の成長につなげられることにもやりがいを感じているそうです。

詳しくは、こちらのインタビューページをご覧ください。
https://staff.persol-xtech.co.jp/guide/interview/002.html

 

まとめ
  • 50代エンジニアは今後増していき、2030年のIT人材年齢分布において、50歳以上の人材は約27%のボリュームに達すると予測されている
  • 50代エンジニアは今後ますます「当たり前」の存在となっていき、豊富な知見を有するシニア世代のエンジニアの需要も増していく
  • 50代エンジニアには、即戦力として活躍できるスキルはもちろんのこと、マネジメントスキルやメンターの役割を担える人間性も重視される
  • 過去の実績や経験に捉われないことや、自分のやり方に固執しない姿勢も重要
  • 正社員のほか、派遣社員やフリーランス、あるいは企業など、50代エンジニアのこれからの働き方には、豊富な選択肢が残されている

 

 

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