プログラミング言語の種類|特徴や将来性・仕事内容から考える「初心者におすすめの言語」
小中学校にプログラミングの授業が取り入れられたり、高校生の「なりたい職業ランキング」の上位にプログラマーがランクインしたりと、「プログラミングの仕事に就きたい」と考える人はますます増えてきています。
しかし、プログラミング言語にはさまざまな種類があることから、「初心者が学ぶのにおすすめの言語は?」「それぞれの言語の違いや特徴がわからない」といった疑問に直面することもあるでしょう。
本記事では、プログラミング言語の種類や、言語ごとの特徴や将来性、初心者がプログラミング学習を始める際におすすめとなる言語の選び方について解説します。
Contents
プログラミング言語とは
プログラミング言語とは、コンピューターに「指示」を与え、タスクを「実行」させるために使用する、一定のルールに基づいて形式化された言語のことです。主にアプリ開発やWebサイトの制作などに用いられています。
プログラミング言語にできること
プログラミング言語は、プログラムを動かすために、コンピューターへどのようなタスクを処理させるのか、指示をする際に使用されます。
プログラミング言語には数百もの種類があるといわれおり、それぞれの言語に応じて得意な処理、苦手な処理があります。これらの言語は、コンピューターが理解できる機械語(バイナリコード)に翻訳され、ソフトウェアやアプリの開発、Webサイトの設計、計算処理や機器の制御、あるいはデータ分析など、さまざまなタスクを実行するための指示を出しています。
マークアップ言語との違い
プログラミング言語に似たものに「マークアップ言語」があります。
マークアップ言語とは、文章を構造化してフォーマットを定義し、コンピューターに読み込ませるための言語です。たとえばWebページの見出しや段落、画像などをコンピューターに正しく認識させ、ブラウザに表示させる役割を担います。
マークアップ言語の代表例には、HTMLとCSSが挙げられます。「HTMLやCSSもプログラミング言語である」と認識している方も多いかもしれませんが、厳密にはマークアップ言語に該当します。
プログラミング言語とマークアップ言語の大きな違いに、プログラミング言語はデータ処理や計算を担う一方で、マークアップ言語はそれらを行わない点があります。
たとえば、プログラミング言語の「JavaScript」は、入力された内容から計算処理を実行できるため、Webページに電卓を作成できます。一方、マークアップ言語であるHTMLやCSSは、電卓自体のデザインや表示を担う建付けです。
主要プログラミング言語の種類分類表・特徴一覧
プログラミング言語の種類は非常に多いですが、「AI分野の急速な技術革新により、機械学習に適したPythonの人気が高まっている」といったように、時勢に応じたトレンドなども勘案されるため、すべての言語が等しく使用されているわけではありません。
ここでは、現在の開発現場にてよく使用されている言語、言い換えれば「仕事として使える言語」「将来性の高い言語」とされる以下の8つの言語について、それぞれの違いや特徴について解説します。
種類 | 特徴・具体的な仕事 | 将来性 |
---|---|---|
C++ |
|
特にシステム開発やゲーム開発で継続的な需要がある |
Python |
|
AIやデータ分野など最新テクノロジー分野に強く、高い成長力が見込める |
Java |
|
アプリ開発や企業システムなどで安定した需要がある |
PHP |
|
Web開発での需要は中長期的に安定している |
JavaScript |
|
Web開発では不可欠であり、フレームワークの進化により成長が続いている |
Swift |
|
iOS/Appleプラットフォーム拡大に伴い需要は伸びていく |
C# |
|
特にゲーム開発(Unity)や企業向けアプリで需要が高い |
Ruby |
|
スタートアップ中心に一定の需要があるが、成長は緩やか |
C++
「C++」は、1972年にアメリカで開発された高速でプログラムを作成する「C言語」から発展したプログラミング言語であり、C言語との互換性があります。
C++とC言語の大きな違いに、C++はオブジェクト指向言語であることが挙げられます。オブジェクト指向とは、細かなプログラムを「部品」として捉え、部品を組み合わせていくことでひとつのシステムを作り上げていく考え方です。
C++の最大ともいえる特徴は、高速なタスク処理能力です。多くの負荷がかかる複雑なシステムでも、スムーズな処理を可能とします。
その特性から、主にアプリ開発やゲーム開発、あるいは金融システムや官公庁システムなど大規模なシステム開発に使用され、人工知能(AI)やロボット技術などにも応用されています。
Python
「Python」は1991年に公開されたプログラミング言語で、公開から年数は経過しているものの、近年になり爆発的に人気が高まっている言語です。
プログラミング言語の人気指標をまとめている「TIOBE index」によると、2024年2月の結果では全体の約15%がPythonを高く評価しており、ランキング1位を獲得しています。
Pythonの特徴には、コードの記述が短くシンプルであること、プログラムの開発を助けるライブラリやフレームワークも豊富であることから、効率よくプログラム開発ができる点が挙げられます。
現在、幅広い分野で使用されている言語であり、Instagram、YouTubeなどの大規模なアプリや、人工知能(AI)、機械学習など最先端テクノロジー分野にも用いられています。
Java
「Java」は、OS環境を問わず使用できる、極めて汎用性の高い言語として安定した需要を保ち続けています。また処理速度も速く、なおかつ動作が安定している点も特徴です。
Javaが用いられているプロダクトは、各種Webサービスやアプリ、カーナビ、家電など多岐にわたります。また、Javaはセキュリティ面も十分に考慮して設計されているため、金融機関の大規模システムなどにも多く使用されています。
PHP
「PHP」は、プログラミング言語のなかでもデータベース連携などサーバー側の処理を得意とする言語です。Web開発に特化し、多くのWebサイトに採用されています。
PHPが使用されている代表的なプロダクトには、Webサイトを構築するCMS(コンテンツマネジメントシステム)であるWordPressが挙げられます。
2023年時点にて、世界中のWebサイトの約43%がWordPressで作られているとされています。そのためPHPの需要は高水準で安定しており、学習教材や解説サイトなども豊富にあることから、プログラミング初心者にも学習をおすすめできる言語です。
JavaScript
「JavaScript」は、Webページでのアニメーション表示、あるいはデータ検証や処理など、動的なWebサイトの作成にあたり必須といえるプログラミング言語です。また、Webブラウザとテキストエディタがあれば実行できるため、環境構築が求められない使いやすさも特徴です。
近年ではWebフロントエンド開発だけではなく、データを処理するサーバー側での開発プロジェクトも増えており、JavaScriptでのゲーム開発やチャットボット開発なども行われています。
なお、Javaと混同されることがありますが、両者は全く異なるプログラミング言語です。
Swift
「Swift」はApple社が2014年に開発した比較的新しいプログラミング言語です。MacやiPhone、iPadなどのApple製品向けのアプリ開発で使用されます。
Swiftはコードが読みやすく記述もしやすいため、初心者でも学習しやすい言語です。開発環境「Playground」を使用し、リアルタイムで動作確認をしながら効率よく開発できる点も特徴です。
また、Apple製品のアプリ開発のほか、Webサーバー制作にも対応します。
C#
「C#」はマイクロソフト社が開発したプログラミング言語です。同社が展開するWindowsとの相性のよさはもちろん、MacやiOS、Androidにも対応する高い汎用性を有します。
C#はマイクロソフト社による開発ツール(Visual Studio)などのサポートが豊富であり、使いやすさも魅力です。主にアプリ開発や、「Unity」と呼ばれるゲーム用の開発環境を使用してのゲーム開発、さらにVR技術などの分野で需要が高く、高度な開発にも対応します。
また、Javaを学習した方にとっては、文法が似ていることもあり習得しやすい点も特徴です。
Ruby
「Ruby」は日本のまつもとゆきひろ氏が1993年に開発したプログラミング言語で、現在も世界中で使用されています。Rubyはコードの記述がシンプルであり、文法もわかりやすい点が特徴です。
また、RubyのフレームワークであるRuby on Railsの使用により、アプリ開発やSNS開発、ショッピングサイトやブログサイトの作成などの開発工数を大幅に削減する効率化がなされます。
さらにマーケティングの分野においては、スクレイピングと呼ばれるWebデータの抽出にもRubyが使用されています。
プログラミング言語の選び方
現在の開発現場にて主流となっているプログラミング言語について取り上げましたが、これから実際にプログラミング学習を始めるにあたり、どのように言語を選ぶべきなのでしょうか?
ここでは、学習するプログラミング言語の選び方について、2つの観点から解説します。
- 仕事に活かす目的に応じて選ぶ
- 初心者は勉強しやすいプログラミング言語を選ぶ
仕事に活かす目的に応じて選ぶ
プログラミング言語の学習で、なにより大切なのは「継続力」です。「アプリ開発の仕事に就きたい」「AI分野で活躍したい」といったように、モチベーションの維持には明確な目的が重要になります。プログラミング言語によって特性や得意分野は異なるため、目的に適したプログラミング言語を選択しましょう。
以下にまとめた、目的に応じたプログラミング言語の分類表を参考にしてください。
目的 | 向いているプログラミング言語 |
---|---|
Webページ開発 | JavaScript、Ruby、PHP |
AI開発 | C++、Python、JavaScript |
ゲーム開発 | C#、C++ |
アプリ開発 | Swift、Java、JavaScript、Ruby |
IoT開発 | Python、Java |
なお、「ゲームを開発したい」などの目的が明確に定まっていない段階であれば、Webページ開発からAI、アプリ開発までと汎用性の高い、JavaScriptやPythonなどの学習がおすすめです。
初心者は勉強しやすいプログラミング言語を選ぶ
プログラミング初心者が勉強しやすいプログラミング言語には、PythonやJavaScript、Rubyが挙げられます。これらの言語はコードがシンプルで、ライブラリやフレームワークなども充実しており、初心者でも学びやすい環境が整っています。
なお、本記事で取り上げた人気の高いプログラミング言語は、いずれも問題集や解説ページなどの学習教材へのアクセスが容易です。まずは人気の高い言語を選ぶとよいでしょう。
また、プログラミング学習を始める入口として、Webサイト制作に欠かせないHTMLとCSSを併せて学習することをおすすめします。これらはマークアップ言語に分類されますが、複雑な計算処理などの機能を理解する必要はないため、他の言語よりも習得ハードルは低いです。
近年ではノーコードやローコードなど、プログラミングの知識がなくても開発できるツールも出てきていますが、あらゆるプログラミングスキルのベースとなるマークアップ言語は学んでおいて損はありません。
- プログラミング言語とは、コンピューターに「指示」を与え、タスクを「実行」させるために使用する、一定のルールに基づき形式化された言語のこと
- マークアップ言語とは、文章を構造化してフォーマットを定義し、コンピューターに読み込ませるための言語
- プログラミング言語とは異なり、マークアップ言語はデータ処理や計算を行わない
- プログラミング言語には数百もの種類があるといわれているが、すべての言語が等しく使用されているわけではない
- 現在の開発現場にてよく使用されている、「仕事として使える言語」「将来性の高い言語」には、PythonやC++、Java、PHP、JavaScriptなどが挙げられる
- プログラミング言語の学習で大切なのは「継続力」であるため、将来の仕事に活かす目的に応じて選ぶなど、モチベーションを維持しやすい言語を選ぶとよい
- 初心者はPythonやJavaScriptなど勉強しやすいプログラミング言語や、HTMLやCSSといったマークアップ言語の学習がおすすめ