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派遣の抵触日とは?事業所単位と個人単位の違いやリセット条件・対象外となる条件を解説

派遣社員として働く際には、知っておくべきことがいくつかあります。そのひとつが「派遣の抵触日」です。

派遣の抵触日とは、派遣受け入れ可能期間が経過した次の日のこと。抵触日は主に派遣会社と派遣先企業が遵守すべきルールに関連するため、守らなかったからといって派遣社員に罰則が課されるわけではありません。しかし、派遣社員として働くにおいて、ぜひ知っておきたい重要な項目です。

派遣の抵触日とは

派遣の抵触日とは、派遣受け入れ可能期間が経過した「翌日」を指します。

派遣契約は2015年に改正された労働者派遣法により、受け入れ可能期間は原則3年までと定められました。いわゆる派遣の3年ルールですが、この制限を受ける最初の日にあたるのが抵触日です。

たとえば、派遣の受け入れ開始が2021年4月1日の場合、抵触日は3年が経過した翌日の2024年4月1日になります。

なお、この3年ルールや抵触日など、派遣契約の期間に制限が設けられた目的は、働ける期間を制限することではありません。派遣社員の雇用の安定化を図り、キャリアアップの機会損失を防止することや、正社員化あるいは常勤雇用契約への切り替えへと促すことにあります。

かつて派遣社員は、正社員と比べて人件費を抑えやすく、雇用の調整弁として活用されがちな側面が強くありました。しかし、常用代替として取り扱われてしまうと、派遣社員はもちろん、派遣先企業に直接雇用されている従業員の雇用安定すらも脅かされます。

そこで、雇用の安定化とキャリアアップの機会損失を防ぐことを目的に、派遣期間が3年を超える場合は、直接雇用を促進するように法改正がなされ、「3年ルール」および「抵触日」が設けられたのです。

なお、抵触日には「個人単位」と「事業所単位」の2種類があり、それぞれ期間における考え方が異なります。

 

「個人単位」における抵触日

個人単位における抵触日とは、同一の派遣社員が同一の組織(課・グループ)で働ける期間(=3年間)を超えた翌日のことです。

たとえば派遣社員のAさんが人事課に配属されて派遣可能期間の3年を迎えた場合、その後は人事課での受け入れは不可となります。たとえAさんを雇用する派遣会社が変わったとしても、人事課では受け入れてもらえません。

ただし、同一事務所であっても別の組織であれば受け入れが可能です。そのため、Aさんが抵触日を迎えたあとは同一事務所内であっても、会計課など人事課以外の別組織に派遣配属先を変えて働くという選択もできます。

あるいは派遣先企業に直接雇用してもらうか、まったく別の派遣先企業の人事課に受け入れてもらって働くといった選択も可能です。

 

「事業所単位」における抵触日

事業所単位における抵触日とは、同一事務所で派遣社員が働ける期間(=3年間)を超えた翌日のことです。

事業所単位での3年のため、途中で派遣社員が交替しても、受入開始から3年立った時点で、中途受け入れされた派遣社員も受け入れが不可となります。なお、個人単位の抵触日もありますが、事業所単位の抵触日が優先されます。

ただし、派遣先企業からの希望があった場合、抵触日の1ヶ月前までに派遣先企業の過半数労働組合などに意見聴取がなされ、3年を限度に派遣期間が延長されるケースもあります。

派遣先企業の希望がなく抵触日を迎えた場合は、個人単位の抵触日を迎えた場合と同じく「別の組織で働く」か、「派遣先企業に直接雇用してもらう」か、「別の派遣先企業で働く」かの選択となります。

なお、派遣会社で無期雇用されている派遣社員(無期雇用派遣)の受け入れであれば、その限りではありません。無期雇用派遣では、派遣契約期間の制限はなく、たとえば上の図の無期雇用派遣社員のCさんであれば、AさんやBさんとは異なり、抵触日以降も就業できます。

 

抵触日を超えるとどうなる?

抵触日を超えて派遣社員を受け入れていた場合、派遣先企業、派遣会社とも行政指導を受け、指導に従わない場合には、派遣先企業名が公表され、派遣会社には30万円以下の罰金が科されることがあります。

また、派遣先企業が派遣社員に対して直接雇用を申し込んだとみなされる「労働契約申込みみなし制度」が適用され、労働者が1年以内に了承の意思表示をした場合は、自動的に派遣先企業との直接雇用が成立します。

参考:労働契約申込みみなし制度の概要|厚生労働省

しかし、抵触日を超えた場合、派遣社員を一切受け入れられないのかというと、実はそうでもありません。抵触日は以下に説明するような手続きを踏むことで延長が可能です。

 

抵触日はクーリング期間を終えるとリセットされる

抵触日はクーリング期間を設けることでリセットされます。

クーリング期間とは、派遣社員として一定期間「働かない」空白期間のことをいいます。個人単位・事業所単位の両者ともに、派遣期間終了後「3ヶ月と1日」が経過すれば抵触日がリセットされ、再度派遣社員の受け入れが可能となります。

個人単位の場合は、クーリング期間を経過することで新たに3年間、同一の組織単位で同一派遣社員の受け入れが可能です。これに対して事業所単位の場合では、クーリング期間を経過すれば同一の事業所にて新たに3年間、派遣社員の受け入れができるようになります。

ただし、クーリング期間が偶発的に生じた場合は問題ありませんが、ぴったり3ヶ月と1日を空けて再度派遣を受け入れる場合など、クーリング期間を意図的に利用して派遣社員の受け入れの期間制限を免れようとする行為は、脱法行為として行政指導の対象になるため、注意が必要です。

 

派遣の抵触日(事業所単位)は延長することが可能

派遣の抵触日は派遣先企業が希望する場合、下記の手続きを取ることで延長も可能です。

なお、個人単位では延長という概念がないため、延長する場合は事業所単位での延長となります。

  1. 意見聴取を行う先を選ぶ

    派遣可能期間の延長については、労働組合または過半数の労働者代表に対して、抵触日の1か月前までに意見を聴く(意見聴取)必要があると、労働者派遣法第40条の2第3項で明記されています。基本的には「事業所の過半数の労働組合」から意見聴取を行いますが、労働組合がない場合は「過半数の代表者」から意見聴取がなされることになります。

  2. 参考資料を作成する

    「派遣期間」や「派遣受け入れ開始からの派遣社員数」、「派遣先の無期雇用労働者数の推移」などの情報を参考資料としてまとめます。決まったフォーマットはありません。

  3. 「意見聴取の通知書」を通知する

    意見聴取先に派遣期間を延長しようとする事業所と延長期間を記載した「意見聴取の通知書」と「参考資料」を送付します。

  4. 意見聴取の結果の保管と派遣先企業の労働者への周知を行う

    意見聴取の結果が出たら、派遣の抵触日から3年間保管する必要があります。また、結果は見やすい場所に掲示したり、書面を配布したりして、派遣先企業の労働者に周知します。

  5. 派遣企業に通知する

    派遣企業に意見聴取の結果を通知して、派遣契約の再締結を行います。

なお、意見聴取の際に意見聴取先から異議が出る場合もあります。その場合は延長の理由や期間、異議への対応方針などを説明しなければいけません。手続きが遅れると抵触日を過ぎてしまうおそれがあるので、意見聴取は抵触日の1ヶ月前までに余裕をもって行うのが望ましいでしょう。

 

抵触日以降の派遣社員の働き方

抵触日を迎えた派遣社員のその後の働き方は、主に次の3通りが考えられます。

働き方 メリット デメリット
同一の派遣先企業で別の課で働く
  • 新たに派遣先を探す必要がない
  • 新たな業務内容を覚え直す必要がある
  • 別の課に空きがあるとは限らない
別の派遣先企業で働く
  • 同じ業務内容の課で受け入れてもらえる可能性がある
  • 派遣先が見つかるまで働けない期間が発生することがある
派遣先企業で直接雇用される
  • 雇用が安定する
  • 働けない期間がない
  • 派遣社員よりも待遇が良くなるとは限らない

 

同一の派遣先企業で別の課で働く

抵触日を迎えたとしても、別の組織(課・グループ)であれば、同一の派遣先企業で働くことが可能です。たとえば、先にも例を出したように人事課で抵触日を迎えた場合、派遣先を会計課に変えれば、同一の派遣先企業にて就業を継続できます。

それでも業務内容は変わるため、新たな仕事を覚え直す必要は生じますが、別の派遣先企業を探す手間が省ける点はメリットです。この方法は、派遣先企業を変えたくない人や、再度働くまでに期間が空くのを避けたい人におすすめです。

ただし、同一の派遣先企業にて別の課に人員の空きがあるとは限りません。その場合は別の働き方を模索する必要があります。

 

別の派遣先企業で働く

派遣先企業を変えるというのもひとつの方法です。特に元々働いていた部署で培ったスキルを活用して引き続き仕事したい人におすすめの選択肢となります。

たとえば人事課で働いていた場合、同一の事務所(派遣先企業)で継続して働くとなると別の課に移る必要があるため、人事課でのスキルをそのまま活かせるとは考えづらいです。一方、派遣先企業を変えれば、企業カルチャーなどは異なるものの、人事課で働くことも可能でしょう。

ただし、希望する課に空きのある企業がすんなりと見つかるとは限らない点には注意が必要です。

 

派遣先企業で直接雇用される

派遣先企業での直接雇用を希望する場合は、抵触日を迎えるタイミングで直接雇用に切り替えてもらえるよう、派遣先企業に相談してみるのもありでしょう。派遣先企業からの同意が得られれば、直接雇用の契約を締結します。

この場合、雇用の安定化が期待できることと、空白期間が生じないままで仕事を継続できる点がメリットです。

ただし、派遣社員から直接雇用に切り替えることで待遇が良くなるとは限りません。自由で柔軟な働き方や、ワークライフバランスが損なわれることなども懸念されるため、ここは派遣先企業との交渉次第です。そのため、交渉が苦手ではない人や専門性・スキルの高い人におすすめです。

 

派遣可能期間制限の対象外となる条件

派遣可能期間の制限には、対象外となる条件もありします。これに該当する場合は抵触日が存在しないため、同一事務所・同一組織で3年以上の就業が可能です。

 

派遣社員の条件

以下の条件に当てはまる派遣社員は、派遣可能期間の制限を受けません。

  • 無期雇用派遣
  • 60歳以上の派遣労働者

派遣会社に無期雇用されている派遣社員には、抵触日は適用されません。また、60歳以上の場合は一般的に就職が困難となる状況が配慮され、派遣可能期間の制限を受けません。

 

派遣業務の条件

派遣先で従事する業務が、下記のような項目に該当するケースにおいても、派遣可能期間の制限対象外となります。

日数限定業務 その業務が1ヶ月の間に行われる日数が、派遣先企業の社員の所定労働日数の半分以下かつ月10日以下の業務
有期プロジェクト業務 事業の開始、縮小又は廃止等のための業務であり、一定の期間内に完了する業務
産休・育休等 産前産後・育児・介護休業を取得する労働者の業務

これらの業務は常用雇用の代替のおそれが低いため、派遣可能期間の制限は受けません。

 

まとめ
  • 派遣の抵触日とは、派遣期間が終了した次の日のこと
  • 抵触日には「個人単位」と「事業所単位」の2種類がある
  • 個人単位における抵触日とは、同一の派遣社員が同一の組織で働ける期間(=3年間)を超えた翌日のこと
  • 事業所単位における抵触日とは、同一事務所で派遣社員が働ける期間を超えた翌日のこと
  • 個人単位の抵触日よりも、事業所単位の抵触日が優先される
  • 派遣の抵触日は派遣先企業が希望する場合、所定の手続きを取ることで延長も可能
  • 無期雇用派遣や60歳以上の派遣労働者などには、抵触日は適用されない

 

 

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